研究課題
GM-CSF(Granulocyte Macrophage colony-stimulating factor)は古くから造血因子として知られているサイトカインの一つであるが、近年GM-CSF産生Tヘルパー(Th)細胞が関節リウマチや多発性硬化症の動物モデルにおいて病因惹起性のThサブセットであることが明らかになってきた。本研究では、活性化Th細胞のGM-CSF産生制御に関わる分子基盤の包括的な理解と分子標的の臨床応用を視野に入れた研究を展開している。本年度、Tnfsfシグナル経路に依存して上昇する分子を定量的PCR法を用いて検証し、今後の研究展開に必要な候補分子として絞り込みを行った。また、生体内におけるTnfsf18シグナルの意義を調べるため、野生型とTnfsf18欠損マウスを用いて自己免疫病モデルを誘導し病態と炎症組織に浸潤した細胞機能について解析をおこなった。自己免疫性関節炎および実験的脳脊髄炎を誘導したところ、自己免疫性関節炎では有意な差が見いだせなかったが、Tnfsf18欠損マウスにおいて実験的脳脊髄炎の有意な重症度の低下が観察された。臨床的な表現型と一致して、組織に浸潤しているエフェクター細胞のGM-CSF産生能を含む機能低下も確認できた。従って、Tnfsf18シグナルはエフェクターTヘルパー細胞の機能を特異的に修飾し、自己免疫病の病態に重要な役割を果たすことを明らかにした。
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最新医学
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