研究課題
昨年度はMASP-1/3を阻害する2つのリコンビナント蛋白MAp44-IgとMAp44-PAを開発した。これらをマウス血清に添加し、マンナンコートブレートを用いてC4もしくはC3の沈着を測定し、レクチン経路と第二経路の抑制効果を判定した。リコンビナント蛋白を加えない血清と比較して、C4もしくはC3の沈着レベルの抑制効果が認められたが十分とはいえず、SLEモデルマウスの治療効果も十分に得られないことが予想された。そこで、本年度はレクチン経路の活性化を競合阻害するMAp44に、第二経路の補体活性化因子であるC3bBbやC3bを解離失活することで第二経路の活性化を抑制するH因子(fH) を結合させた融合蛋白MAp44-fHを作製し、in vitro とin vivoでの有効性を評価した。マウス肝細胞からMAp44とH因子(fH)のcDNAをRT-PCRで作成し、リンカー(GGGGS)4で結合し、PA-Tag付加の発現ベクターに組み込んだ。CHO細胞にトランスフェクトしてMAp44-fH-PAを産生させ、培養上清から融合蛋白を抗PA抗体カラムで精製。レクチン経路と第二経路の抑制能をin vitroとin vivoで評価した。その結果、マンナンコートプレートアッセイを用いたレクチン経路と第二経路の活性化抑制の評価では、MAp44単独と比較しMAp44-fHを添加した血清で有意なC3の沈着の抑制効果が確認され、in vitroでのMAp44-fHの有効性が確認された。MAp44-fHをマウス腹腔内に投与し、48時間まで経時的に採取した血清を用いたin vivoの評価では、腹腔内投与1時間に血清濃度がピークに達し、48時間までにピーク時の10%までに減少したが、マンナンコートプレートアッセイでは、48時間後の血清でも投与1時間後の血清と同等に、レクチン経路と第二経路の抑制効果が保たれていた。以上の結果から、MAp44-fH は in vitroと in vivoで、レクチン経路と第二経路の活性化を抑制する能力を有することが確認された。今後は、SLEモデルマウスに投与し、治療効果を判定する予定である。
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Acta Derm Venereol
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10.2340/00015555-2379.
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