研究課題/領域番号 |
26670490
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
青木 洋子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80332500)
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研究分担者 |
松原 洋一 独立行政法人国立成育医療研究センター, 研究所, 研究所長 (00209602)
新堀 哲也 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40436134)
井上 晋一 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70622091)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | RAS/MAPK / ヌーナン症候群 / BRAF / エピゲノム |
研究実績の概要 |
これまで収集したRAS/MAPK症候群患者のうち変異陰性患者96例について、デスクトップ次世代シークエンサーを用いて網羅的にエピゲノム関連遺伝子(DNAメチル化酵素、ヒストン修飾酵素、クロマチンリモデリング因子)を検索した。そのうち一例で既知のクロマチンリモデリング因子の変異が同定されたほかに、今までに報告の無い4種のバリアントが同定されている。現在これらのバリアントのサンガー法にて確認するとともに、サンプルの数を増やして解析を行っている。 申請者らは最近CFC症候群モデルマウス作製に成功した。CFC症候群モデルマウス治療実験においてヒストン脱メチル化酵素阻害剤2剤(NCDM-32b, GSK-J4)の単剤投与と、GSK-J4とMEK阻害剤(PD0325901)との併用療法が、変異マウスの胎生致死を回避することが明らかになった。さらに、PD0325901以外のMEK阻害薬の効果や、それらとヒストン脱メチル化酵素阻害剤の効果も検討した。またヒストン脱メチル化酵素阻害剤とMEK阻害剤を投与したときの心表現型の変化、遺伝子・蛋白の発現を検討した。変異マウスの心臓において、ヒストン脱メチル化酵素の活性は野生型マウスと同等であった。また薬剤投与前後のヒストン脱メチル化酵素の蛋白量を検討したが、差は見られなかった。現在は薬剤投与前後のヒストン脱メチル化酵素mRNA量の変動の有無を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
デスクトップ型シークエンサーを用いた網羅的遺伝子解析の系が順調に構築でき、多くの症例に対して複数の遺伝子スクリーニングが可能になった。エピゲノム関連遺伝子のバリアントも検出もできた。 CFC症候群モデルマウスにおいて、ヒストン脱メチル化酵素阻害剤単剤、あるいはMEK阻害薬との併用が効果を示すことが明らかになった。そのメカニズムの解明を目指し胎仔の心臓サンプルにおけるヒストン脱メチル化酵素活性測定や蛋白の解析を行った。
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今後の研究の推進方策 |
デスクトップ型シークエンサーを用いた網羅的遺伝子解析の系が順調に構築でき、多くの症例に対して複数の遺伝子スクリーニングが可能になった。今後は同定されてきたバリアントのSanger法での確認とその機能について検証していくとと共に、解析症例を増やして新たなバリアントの検出を試みる。 なぜヒストン脱メチル化酵素阻害剤がBRAF活性化を示すCFC症候群モデルマウスの表現型改善に効果を示すのかはいまだに不明である。CFC症候群モデルマウスの臓器におけるエピゲノムの変化や遺伝子発現の網羅的解析を継続して行っていく。
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