研究課題/領域番号 |
26670492
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
加藤 元博 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40708690)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 小児白血病 |
研究実績の概要 |
小児白血病の治療反応性は再発リスクと密接に関連することから、治療の層別化を行うための重要な予後因子として用いられている。特に、微小残存病変(minimal residual disease: MRD)を精密に測定することで治療反応性を詳細に評価することの有用性が認識され、国内外の臨床試験においても層別化因子として用いられている。本研究では、次世代シークエンサーを用い、従来のPCRを主体としたMRD検出法よりも広い対象で、かつより高感度に検出可能な検査系を確立することを目的として解析をおこなった。 次世代シークエンサーを用いた検査系の検出感度および定量性を確認する目的で、異なる個人の末梢血由来のDNAを段階的な希釈系列(1倍=100から10-6)で作成した。異なる一塩基多型(SNP)を標的として次世代シークエンサーでdeep sequencingを行い、得られたreadからDNAの混合比をどの程度推定できるかを解析した。 次世代シークエンサーでのdeep sequencingにより、1箇所のSNPあたり平均で50万のreadが得られた。測定は8箇所のSNPを対象として行ったが、どのSNP箇所でもばらつきはきわめて小さく、10-4までは高い定量性をもってDNAの混合比を測定することが可能であった。 来年度には、解析系の最適化・解析アルゴリズムの改善を行い、より信頼性の高い定量範囲を広げると共に、臨床検体でのMRD検出によってその意義の確認を行うことで、本研究によって確立した検査系の重要性を検証する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおり、次世代シークエンサーを用いた解析系により一定以上の定量性を確認でき、次年度の臨床的な意義の確認に向けた基礎的な段階を達成できたと考える。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度以降の方策として、以下の2点を考える。 1)解析系の最適化・解析アルゴリズムの改善 解析に投入するDNA量や、次世代シークエンサーへの投入までのPCRサイクル数の制限、解析後データの統計処理などにより、より信頼性の高い定量範囲を広げることを目指す。 2)実際の臨床検体でのMRD検出と、その意義の確認 白血病患者の寛解期検体から本件作法でMRD検出を行い、臨床経過との関連を調べることで、本検査によるMRD検出の臨床的な意義を探索する。
|