研究課題
低身長は小児内分泌領域では最も多い症状であり、小児期に治療することが必要である。一部の患者では成長ホルモン治療が有効であるが、注射剤であるため、より負担のない治療薬の開発が望まれている。我々は、最近、著明な低身長をきたす疾患の原因として、新規因子の同定に成功した。FAM111Aは、その遺伝子変異によって、均整のとれた著明な低身長と副甲状腺機能低下症を特徴とするKenny-Caffey症候群(KCS)2型を引き起こす。FAM111Aが身長増加に重要な因子であることは明らかであるが、その機序は不明である。そこで、本研究では、我々が新規に同定した因子の低身長の発症機序の解析を行った。我々が同定した変異は、全例で同一の変異がde novoに生じていたことから、これが疾患特異的変異と考えた。この変異は、特有の機能を獲得することが予想されたため、まず、この遺伝子を培養細胞内に過剰発現させ、細胞の増殖、分化、蛋白誘導を観察した。その結果、この因子には細胞増殖抑制作用があることが予想された。さらに、変異体にはその作用が増強している可能性が示唆された。そこで、本遺伝子の機能及び変異による影響を個体レベルで観察するために、細胞実験で得られた結果から変異体を厳選して、モデル動物の作成を行った。モデルマウスは、野生型と変異型それぞれで作成し、Cre-LoxPシステムを利用して発現するように構築した。今後モデルマウスの表現型を解析する。
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