研究課題
日本の急性脳症の臨床研究は世界をリードし,種々の病型を確立してきた。けいれん重積型急性脳症では,熱性けいれん感受性遺伝子である電依存性ナトリウムチャネルSCN1A遺伝子変異やSCN2A遺伝子変異を検出し,患者側の内因としてけいれん素因との関連を指摘されている。しかし、けいれん重積型急性脳症の発症メカニズムは不明な点が多く,十分な治療効果が得られていないため,死亡する症例や,知的障害や運動障害,てんかんなどの後遺症を併発する症例がある。病態解明と新規治療法の開発研究にはモデル動物の確立が欠かせない。東京大学を主体とする多施設共同研究に協力し、けいれん重積および難治性部分発作を頻発する急性脳症患者において、炎症に関わる複数の遺伝子とけいれん感受性に関わる複数の遺伝子の解析が実施された。結果、炎症に関わる遺伝子とけいれん感受性に関わる遺伝子の多型が関与する可能性が見いだされた。急性脳症のモデル動物樹立においては、炎症に関わる遺伝子Xとけいれん感受性に関わる遺伝子Yの両方を同時に併せ持つラットを作製した。両遺伝子に変異があるラットでは、4週齢頃から自発性てんかん発作が起こりやすくなり、5週齢までに早期死亡(3匹/6匹中、50%)が認められた。一方で、高体温感受性けいれんは野生型との有意差は認められなかった。早期死亡の原因としては、けいれん発作が最も考えられるが、現在も検証中である。長時間ビデオモニタリングや死亡前での脳組織の解剖により、死亡原因の病態解明が可能になると期待できる。
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Journal of the Neurological Sciences
巻: 368 ページ: 272-276
10.1016/j.jns.2016.07.040. Epub 2016 Jul 16.
http://www.office.hyogo-u.ac.jp/jgs/member/data/
http://soran.cc.okayama-u.ac.jp/view?l=ja&u=4f6bb4c422e9a10774506e4da22f6611