研究課題
小児急性リンパ性白血病医におけるMLL-AF4およびTEL-AML1融合遺伝子のDNAを用いた迅速な検出・同定の方法は前年度に確立できており、白血病症例の初診時検体の場合にはDNA を用いた1回のPCRでこれらの融合遺伝子のゲノム上の融合配列を同定することが可能である。微小病変の検出を目的とした実験では、これらの融合遺伝子を有する白血病症例の治療後の検体や白血病細胞株を非白血病細胞と混合した培養液などを用いた。白血病細胞が概ね1万分の1以下のレベルでは、融合遺伝子のPCR産物のサイズによって検出の可否が影響され、PCR産物のサイズがある程度大きな場合には検出率は低下した。現在MLL-AF4融合遺伝子で44個のプライマー、TEL-AML1融合遺伝子で67個のプライマーを用いてそれぞれの転座集中領域のほぼ全域をカバーしているが、PCR産物のサイズを小さくするために、プライマーの数をさらに増やして、プライマー同士の間隔をより短くすることで結果を改善できると思われ、今後検討を続けていく。検出方法をより簡便にするために、ガスリー血などの濾紙血を用いて、DNA抽出を行わずにゲノム上の融合遺伝子検出を試みたが、同様にPCR産物のサイズが大きな場合には増幅産物を得ることは困難であった。この点に関しても前述のごとく改善試み検討を続けていく。またこれらの融合遺伝子以外にも急性骨髄性白血病で認められるAML1-ETOやPML-RARA、小児軟部腫瘍で認められるEWS-FLI1などの融合遺伝子についても同様の方法で迅速に検出・同定する方法をほぼ確立できた。
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