研究実績の概要 |
1)正常表皮(基底層~顆粒層)におけるミトコンドリアの形態および機能の変化:ミトコンドリアは表皮全層の細胞にほぼ一様に存在していた。電子顕微鏡で基底層、有棘層、顆粒層それぞれにおいて検討おこなったが、その形態の変化はほぼ見られず、また数の変化も見られなかった。分裂融合にかかわるGTP加水分解酵素において、興味深いことにMfn2は基底層のみに発現がみられ、Mfn1は有棘層のみに発現がみられた。これまでの報告でMfn2は肝細胞においてtrichopleinによりkeratin8,14と結合することが報告されており、keratinの発現パターンによりミトコンドリアの融合を担う酵素の発現パターンが変化することが示唆される。 2)表皮融解性魚鱗癬(keratin 1,10遺伝子変異)患者の皮膚、および培養細胞における、ミトコンドリアの形態および機能:電子顕微鏡による観察では、核周辺に変性したミトコンドリアが多数見られたことからミトコンドリアの関与が強く示唆される。 3)表皮特異的Drp1およびMfnのコンディショナルノックアウトマウスの作製:Drp1、Mfn1、Mfn2それぞれの表皮特異的コンディショナルノックアウトマウスの作製に成功した。それぞれ十分な数を得ておらず、今後詳細な皮膚症状などのフェノタイプの解析を行った。それぞれの表皮特異的コンディショナルノックアウトマウスは正常に出生している。 4)KeratinとMfnを結びつけるタンパクを同定:培養表皮細胞を用いて、免疫沈降法にてKeratin1または10と結合するタンパクを抽出し、質量分析により、候補タンパクを探索を行った。現在のところまだ特異的タンパクの同定に至っていない。
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