我々はまず、ヒト組織における好中球の染色を行った。DAPI、MPOの多重蛍光免疫染色により、好中球DNAを組織中で確認する手技を確立し、アレルギー性紫斑病やSLE、その他の血管炎などの疾患で異差が認められるのか現在検討中である。 今後さらにNETs比などを検討するのに最適な条件を検討する予定である。当初、ヒト好中球からNETsの単離を検討するステップを考えていたが、無刺激の好中球単離の条件検討が必要であることが研究推進中に明らかとなった。そこでまず、マウスの骨髄から好中球を単離し、刺激を行う系の習熟に着手した。マウス骨髄好中球を比重分離により単離し、好中球活性化を起こすことがすでに知られている皮膚病原真菌C. albicansによる刺激を行い、好中球のReactive Oxygen Species (ROS)産生、NETsの産生を検討した。また、抗菌ペプチドの産生能についてPCR法、およびウエスタンブロッティング法を用いえて検討を行った。現在までのところ、技術的な困難を克服できておらず、ヒト好中球を用いて実際にNETs産生を検討する段階には至っていない。しかしながら、これまでの解析を通して実際にマウス骨髄好中球を用いて、NETsを可視化し、効率よくその産生を検出する系を確立した。今後これらの知見を活かし、実際のヒト検体を解析していく予定であり、萌芽研究として一定の成果を挙げられたと考えている。
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