研究課題/領域番号 |
26670520
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 伸一 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (20215792)
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研究分担者 |
浅野 善英 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60313029)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 全身性強皮症 / Fli1 / KLF5 / 線維化 / 自己免疫 / 血管障害 |
研究実績の概要 |
これまで汎用されてきた全身性強皮症の動物モデルとしては、ブレオマイシン誘導性皮膚硬化モデルやtight-skinマウスがある。しかしながら、これらの全身性強皮症の動物モデルは、本症の病態を適切に反映しているとはいえず、新しい動物モデルの開発が望まれている。我々が今後用いる予定のKLF5、Fli1ダブルヘテロ欠損マウスでは、全身性強皮症患者皮膚検体で実際にepigenetic制御により発現が低下しているKLF5、Fli1を遺伝的にヘテロ欠損させたという点で、本症の表現型を適切に反映している。本研究の目的は、KLF5ヘテロ欠損マウスとFli1ヘテロ欠損マウスを交配させることによってKLF5、Fli1ダブルヘテロ欠損マウスを作成し、全身性強皮症類似の病態 (線維化、血管障害、免疫異常) を発症するかどうか検討することである。KLF5、Fli1ダブルヘテロ欠損マウスの真皮は野生型マウスと比較して、45%肥厚しており、膠原線維もより密に分布していた。さらに、KLF5、Fli1ダブルヘテロ欠損マウスでは、膠原線維の総量やCTGF陽性の線維芽細胞数が増加していた。また、電子顕微鏡の解析では、KLF5、Fli1ダブルヘテロ欠損マウスでは不規則かつ肥厚した膠原線維束が認められ、この変化はヒトの全身性強皮症患者と同様のものであった。血管障害については、KLF5、Fli1ダブルヘテロ欠損マウスでは、血管の閉塞や毛細血管拡張などが見られた。さらに皮膚血管密度の減少およびLox-1発現亢進によって示される組織の低酸素化が認められた。以上より、KLF5、Fli1ダブルヘテロ欠損マウスは、線維化や血管障害の観点からは、全身性強皮症の異常を反していると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の主な目標であるKLF5、Fli1ダブルヘテロ欠損マウスにおける、皮膚、肺の線維化、血管障害の解析は当初の予定通りに進行しており、計画通りである。
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今後の研究の推進方策 |
KLF5、Fli1ダブルヘテロ欠損マウスにおける炎症細胞浸潤や自己抗体産生について解析を進める予定である。
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