全身性強皮症は皮膚と内臓諸臓器の血管障害と線維化を特徴とする原因不明の自己免疫疾患である。本症は多因子疾患であり、特に環境因子がその形質を規定する上で重要と考えられている。強皮症皮膚線維芽細胞では転写因子Fli1とKLF5の発現がエピジェネティック制御により抑制されており、その異常は環境要因の影響を反映した疾病因子の可能性が示唆されている。興味深いことに、Klf5+/-;Fli1+/-マウスは強皮症に極めて類似した免疫異常、血管障害、線維化を自然発症した。同マウスは強皮症の病態概念に基づいて作成された世界初の遺伝子改変動物であり、本症の病態理解・治療開発の一助となることが期待される。
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