研究実績の概要 |
近年、免疫反応において制御性B細胞の重要性が明らかにされ、自己免疫疾患や腫瘍免疫など種々の病態で大きな役割を果たすこともわかってきた。さらに、複数の制御性B細胞のサブセットがあることも示唆されている。本研究は、制御性B細胞のサブセットが疾患ごとにどのような役割の違いをもつかを明らかにし、それに基づいて、制御性B細胞の臨床応用を目指した治療への利用の基礎を確立することを目的とする。治療的活用に当たっては、i) 制御性B細胞標的療法の確立とマウス腫瘍モデルにおける評価、ii) 制御性B細胞のin vitro増殖系の確立とマウス膠原病モデルにおける評価 の2つの軸に関する研究を進行中である。 CD19ノックアウトマウス、BLNKノックアウトマウス、B-1 Breg B細胞特異的PTENノックアウトマウス)を用いて、B16メラノーマを皮下(原発巣モデル)および経静脈的(転移モデル)に移植する系により、腫瘍サイズ(原発巣モデル)、転移の数(転移モデル)、浸潤細胞のプロファイリングなどにより、それぞれの制御性B細胞の腫瘍免疫に対する抑制的効果について検討を行った。 in vitroで制御性B細胞を増殖させ、移入する系を樹立するために、サイトカインや自然免疫シグナル(RP105のほかに、種々のTLRのアゴニストなど)、制御性B細胞表面分子からのシグナル(CD40, BAFF-R, CTLA-4, Tim-1など)などの刺激について検討を行った。
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