研究課題
平成27年度に、私たちは以下の研究結果を得た。1)正常表皮由来の培養細胞であるHaCaT細胞は、通常培養条件下では重層化せず、また発達したTJも形成しない。しかし、JNK阻害剤を加えると2-3層程度に分化/重層化し、TJも形成するようになることが報告されている。このような条件下でANKRD35の発現が誘導されるのかを検討したが、蛍光染色およびウェスタンブロットの結果、ANKRD35タンパク質は発現されないことがわかった。しかし、外因性のANKRD35を安定発現しているHaCaT細胞では、JNK阻害剤の添加によるTJ形成が阻害されることがあきらかとなった。2)昨年度の研究結果から、ANKRD35の細胞内局在は主にN末端側のアミノ酸配列に依存していることが明らかとなった。今年度の研究により、N末端での脂質付加がANKRD35タンパク質の細胞膜への局在に必要であることが明らかとなった。さらに脂質が付加されるアミノ酸も同定し、アラニン置換によりANKRD35が膜に局在しなくなることも示した。
2: おおむね順調に進展している
結合タンパク質の同定には至っていないが、脂質付加によるANKRD35タンパク質の細胞膜への局在機構を解明することができた。また、ANKRD35の機能を解析するための実験として、JNK阻害剤の添加によるHaCaT細胞の分化/重層化誘導が有効である可能性を示すことができた。
1)JNK阻害剤存在下でANKRD35安定発現HaCaT細胞を観察し、分化や重層化の阻害が起きていないのかを調べる。2)マウス発生時のANKRD35タンパク質の発現と局在のパターンを調べるため、マウスANKRD35に対する抗体を作製する。3)ANKRD35の相互作用タンパク質の同定4)ANKRD35欠失マウス作製のための準備(Crisprコンストラクトの作製)
相互作用タンパク質を同定できなかったので、同定後のタンパク質間相互作用の検証のために予定していたノックダウン実験などをおこなわかったため。
相互作用タンパク質の同定のための免疫沈降実験、pull-down実験、質量分析用試料作製、および同定後の相互作用検証のためのノックダウン実験などに使用することを計画している。
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