研究課題
平成26年度および27年度に得られた研究結果から、ANKRD35が分化にともない発現する重層上皮特異的な細胞間接着タンパク質であること、細胞間接着部への局在にはANKRD35のN末端部分のアミノ酸配列が重要で、なかでも脂質の付加が必須であることが明らかとなった。平成28年度に、私たちはさらに以下の研究結果を得た。1)これまで機能が未知だったN末端側のアンキリピート構造を一部欠失したANKRD35の変異体を作製し、HaCaT細胞に遺伝子導入したところ、細胞間接着部への局在能が失われることがわかった。2)外因性のANKRD35を安定発現しているHaCaT細胞のアドヘレンスジャンクション構成分子のsiRNAノックダウンをおこなった。その結果、αカテニン、βカテニン、プラコグロビンのノックダウンではANKRD35の細胞間接着部への局在にほとんど影響は認められなかった。しかし、βカテニンとプラコグロビンのダブルノックダウンでは、Pan-カドヘリン抗体による染色が陰性となった細胞ではANKRD35も陰性となっていた。一方、この時、E-カドヘリン抗体による染色が陰性となった細胞では、しばしばANKRD35が細胞間接着部に局在するのが観察された。これらの結果は、E-カドヘリン以外のカドヘリンファミリータンパク質を含めたカドヘリン-カテニン複合体がANKRD35の細胞接着部への局在に重要であることを示唆しているものと考えている。以上から、ANKRD35の細胞内局在のメカニズムの解明については大きな進展が認められた。今後の研究展開としては、十分に明らかにすることができなかったANKRD35の機能についての解析のため、遺伝子改変マウスの作製を計画している。
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