研究課題
難治性皮膚疾患の病態における末梢循環性間葉系幹細胞の役割解明と治療への応用のための研究を進めた。具体的には、皮膚の炎症性病態における末梢循環性間葉系幹細胞の関与を解明する目的で、1)皮膚移植モデル、2)接触性皮膚炎モデル、の2つのモデルを用いて解析を進めた。皮膚移植モデルにおいて、骨髄由来間葉系幹細胞の集積は植皮片の壊死により誘導される炎症反応を抑制的に制御すること、そのメカニズムとしては、骨髄由来間葉系幹細胞が放出する抗炎症分子TSG-6が浸潤白血球からの炎症性サイトカインTNF-aやIL-1bの産生を抑制し、抗炎症性サイトカインIL-10の発現を誘導することを明らかにした。また、骨髄内間葉系幹細胞を減少させたマウスではこれらの抗炎症作用が減弱すること、骨髄間葉系幹細胞血中動員因子HMGB1を静脈内投与することで、間葉系幹細胞の皮膚への集積が増加して抗炎症作用を増強できることを明らかにした。接触性皮膚炎モデルでは、炎症反応惹起24時間後における静脈内へのHMGB1単回投与により皮膚の炎症反応(皮膚組織の浮腫、炎症性細胞浸潤、炎症性サイトカイン産生)を抑制できることが明らかとなった。これらの成果を基に、現在難治性皮膚疾患治療薬としてHMGB1創薬のための準備を進めている。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 4件)
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