弾性線維腫患者の発症の基礎となる新規の癌抑制遺伝子の同定を目的とした。数名の弾性線維腫患者の腫瘍組織と末梢血ゲノムの遺伝子変異を差分することで、腫瘍組織に後天的に生じた遺伝子変異を全て拾い上げた。末梢血ゲノムにおいても生来的に同一の遺伝子内に別個の変異や欠失があることが、目的の原因遺伝子の必須条件である。しかし、粟国島地方出身の患者ゲノムは、患者間で非常に類似して多様性に乏しかった。日本人全体の平均的ゲノムを標準ゲノムとして、通常の1%以下の存在率の変異を目標に選択する手法では、簡単には絞り込めないことが判明した。多数の病理固定組織の中に共通する生来的な遺伝子変異を探索中である。
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