研究課題/領域番号 |
26670537
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
菊知 充 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任教授 (00377384)
|
研究分担者 |
林 則夫 群馬県立県民健康科学大学, 診療放射線学部, 講師 (50648459)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 自閉症スペクトラム / 聴覚情報処理 / MEG |
研究実績の概要 |
研究対象として、ASD患者を含む20名の3 - 6歳幼児を公募した。研究代表者(金沢大学精神科医師)のフィールドである石川県および富山県の療育機関から公募した。更には金沢市の協力を得て、保健福祉センターにおける3歳児健診をリクルート場所として利用した。ASD患者の場合、診断はASDの国際的に標準化された診断方法であるADOSおよびDISCOに基づいてライセンス保持者が評価を行った。金沢大学医学倫理委員会の承認のもと、親権者に研究の内容を文書にて十分に説明した後に、文書にて同意を得てから実施している。 音声に対する、左右半球の聴覚野で生じるP50mを測定し、その左右の同調程度(左右脳の統合)が、健常児とどの程度異なっているかを検討した。 得られた幼児の脳機能画像を、皮質上にマッピングして解析する場合には、脳構造画像が必要となるが、我々は倫理的な問題を配慮して、幼児に対しては大きな音でストレスのかかるMRIを使用せずに、代わりに我々が開発し、特許出願中である無侵襲脳座標予測システムを利用し、解析を進めている。MEGで得られた脳の知覚への反応の大きさを客観的数値として、脳画像上に示し、脳機能画像として解析を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
視聴覚の情報呈示を行い、その感覚統合についての発達を捉えることを目指していた。しかしながら、乳幼児期においては、視覚情報にたいして、安定した注意を保ってもらうことが困難であることから、聴覚情報処理を中心とした研究推進となっている。被験者数は目標に到達しているが、幼児にも優しく、なおかつコントロールされた実験課題を実現することに時間を要している。
|
今後の研究の推進方策 |
視聴覚情報の感覚統合の発達にこだわらずに、聴覚刺激に対する脳の反応の左右間の統合について調査を進めていく。理由は、聴覚刺激は、注意を必要とせずに、被験者間でよりコントロールされた知覚刺激環境が実現可能であることから、幼児において現実的であることが挙げられる。 今後は、聴覚情報処理における左右の脳の同調性と、「こころ」の発達に焦点を当てて、本テーマの研究目的を実現していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度は、予期しないことに、偶然に他の研究で使用しているMEGの隙間時間を有効利用することで、コスト削減を図る事ができた。更に被験者が謝金を辞退するなどの偶然が重なり、支出が大きく削減できた。このような事は、平成26年度に限定したことであり、平成27年度からは見込めない現象である。 旅費においては、国内学会における発表に招聘旅費が伴っていたことから、費用を使わなかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は、被験者を短期間に集中する見込みが得られていないことから、長期間にわたる幼児用MEGの使用が考えられる。その結果ヘリウムガスのコスト削減は困難である。さらに、単価が急騰しているヘリウムガス料を補てんするために、前年度から繰り越される費用を活用する。さらに、蓄積された膨大なデータを解析するための、コンピューターの購入および、解析ソフトウェアのバージョンアップのために研究費を利用する予定である。
|