研究課題
本研究では、MRIを用いたfractalkine産生依存性MRプローブの作製とPETと用いた活性化ミクログリアCB2受容体リガンドのin vivo二重生体画像法を開発し、モデル動物に応用することでミクログリアのデュアル機能を解明し、創薬に貢献するシステムを創出する。まず、ニューロン・ミクログリア相関に関連するfractalkine-CX3CR1 情報伝達系において、ADAM10/17の活性によって切断される可溶性fractalkineを検出するプローブを作成し、MRで検出するin vitro実験を行い、プローブの作製・至適化後はじめはラット脳でそれを観察する。次に、CB2R結合トレーサーを用いてPETで神経保護性作用を持つミクログリア活性を調べる。うつ病サルモデルや老齢サルを用いてサル脳でのミクログリアのデュアル機能を観察することを確認後、創薬に貢献するモニタリングシステムの構築を目指すことを計画した。プローブ設計の段階で、in vivo 計測が必要なため、プローブの脳内移行性を改善させ、プローブが細胞質内をより拡散しやすくした易移行性改変MRプローブを作製を試みたが、改変MRプローブのN末側にユビキチンを挿入することが困難でありMRプローブによるin vivo画像化は不可能だった。そこで、前年度にラットで[11C]NE40のミクログリア活性の意義を捉え、急性期には保護性活性があることが可視化でした。そこで本年ではマカクザルに対して、[11C]NE40と動物用PETカメラを用いて保護性活性化ミクログリアの定量的評価を行った。老齢サルに対してトレーサー集積の上昇は見られたが、慢性期となる加齢性あるいはうつモデルなどは炎症性活性が優位と考えられた。今後の創薬開発には、よりはっきりした保護性ミクログリアの画像的評価系を作出することが望ましいと思われた。
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J Neuroinflammation
巻: 29 ページ: 69-78
10.1186/s12974-017-0851-4