研究課題
アメリカ精神医学会が作成した「精神障害の分類と診断の手引きDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorder (DSM-IV-TR)」に基づいて大うつ病性障害の診断基準を満たした患者を対象とした。診断は臨床診断面接および構造面接The Mini-International Neuropsychiatric Interview(MINI)により診断した。うつ状態の重症度評価を構造化面接であるStructured Interview Guide for the Hamilton Depression Rating Scale(SIGH-D)を用いて行い、うつ状態はSIGH-Dが18点以上と定義した。寛解期については、SIGH-Dが8点以下かつDSMの「完全寛解」基準に基づき、「過去2か月間はっきりした兆候や症状が見られていない」者とした。脳器質性疾患(てんかん、脳性まひなど)がある者や、重篤な内科的疾患をもっている者などは除外した。本研究は山口大学医学部附属病院 Institutional Review Boardの承認を得ており、すべての対象者から文書による同意を得た。うつ病患者10例と健常者10例の計20例について検討した。うつ病患者については、急性期と寛解期それぞれにおいて血漿サンプルを採取した。うつ病患者の急性期、寛解期、健常者の3群を一元配置分散分析で比較したところ、うつ病寛解期において、健常者と比べて有意に結合性が異なるレクチンが同定された。うつ病急性期と健常者で有意に変化しているレクチンは無かった。これらの結果から、血漿タンパクの糖鎖プロファイルが抗うつ効果発現後に変化することが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
目標人数に近い患者数を確保し、網羅的な血漿タンパク質の糖鎖解析が行えたため。また、一部の糖鎖については、バイオマーカーとしての可能性が示唆されたため。
引き続き、患者血漿サンプルを採取し、糖鎖解析を進めていく。レクチンアガロースなどを用いて、糖鎖が変化した特定のタンパクの同定を試みる。ストレス負荷したうつ病モデルマウスの脳サンプルや血漿サンプルから、うつ病患者と同様な糖鎖変化が起こっていないか確認する。
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10.1016/j.neunet.2014.07.005.
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