放射線照射後の突然変異の中でも染色体転座は最も重篤な変異であるが、その検出は染色体実験に関する熟練した技術が必要であり、その技術を臨床現場に広く普及させることは極めて困難である。本研究では部位特異的制限酵素I-PpoIを用いて、迅速かつ簡便な転座検出法の開発を目指した。タモキシフェン誘導体4-OHTによりI-PPoIを誘導するHT1080細胞を用いて、rDNA部位およびDAB1遺伝子間での染色体転座をPCRにより検出することを試みたが、明らかな増幅は認められなかった。その他の実験結果を合わせた総合的解釈として、転座検出のためにはより高い効率でI-PpoI部位を切断する必要があると考えられた。
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