研究課題/領域番号 |
26670550
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
上原 知也 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (10323403)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | SPECT / 蛍光 / イメージング |
研究実績の概要 |
アミノ酸の一つであるリジン(Lys)を母体とし,側鎖のアミノ基よりピリジンを2個結合した配位子Lys(Py)2を合成した.また,スイッチ機能として,既報を参考にし,アミノ酸の一種であるトリプトファン(Trp)をLysのアミノ末端(Trp-Lys(Py)2)あるいはカルボキシ末端(Lys(Py)2-Trp)に結合した薬剤を設計合成した.これらの配位子と一価のトリカルボニルレニウム(Re(CO)3)によりRe錯体を作製し,蛍光収率及び蛍光強度を測定した.水におけるRe(CO)3-Lys(Py)2の蛍光収率は0.1%未満と極めて低かった.そのため,蛍光強度も低く,測定するためには,0.1 mMという高い濃度を必要とした.一方,Trpを結合したものは予想に反し,0.4%程度と蛍光収率の増加が認められた.これはTrp骨格の発光が影響していると考えられた.また,蛍光強度はこの化合物を用いた場合においても低く,改善の必要性が考えられた.そこで,ピリジンではなく,キノリンを用いた薬剤についても新たに設計,合成し,その蛍光収率および蛍光強度を検討した.しかしながら,本錯体においもても蛍光収率は0.7%と低く,蛍光強度もピリジンを用いた場合と同程度であった.現在,蛍光収率及び発光強度を高めるために,錯体がリジッドになるように,ピリジンを2個繋げたジピリジンを用いた新たな配位子を設計,合成し,目的とする蛍光収率を与える錯体を与えるかどうか検討していくことを考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,当初予定していた配位子の合成およびレニウム錯体の作製を完了し,蛍光強度および蛍光収率を測定することができた.しかし,当初予定していたよりも,蛍光強度および蛍光収率が低く,改善する必要があった.このようなことは計画当初の予想範囲内であることから,達成度は十分であると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度作製したピリジンを用いたレニウム錯体では,蛍光強度および蛍光収率が低く,改善が必要と考えられた.そこで,より錯構造がリジッッドであると考えられるジピリジンを母体とした化合物について合成を行っている.鉄の蛍光検出薬剤であるフェナントロリンを用いたレニウム錯体も計画している.
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