本研究で我々は、放射線腫瘍生物学的がん幹細胞が腫瘍内低酸素領域に存在している可能性を検証することを目的に、新たなモデルマウスを用いる研究を実施した。まず、低酸素誘導性転写因子HIF-1に依存してジフテリア毒素受容体を発現する遺伝子を構築、これを安定に組み込んだがん細胞を樹立して、その移植腫瘍を対象に実験を実施した。その結果、ジフテリア毒素の投与48時間後に、低酸素マーカー(ピモニダゾール)陽性細胞群がTUNEL染色陽性を示すこと、すなわちアポトーシスに陥っていることを確認した。腫瘍内低酸素がん細胞を一掃したタイミングで放射線照射を行うことによって、腫瘍増殖を劇的に遅延できる可能性を見出した。
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