研究課題/領域番号 |
26670556
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
増永 慎一郎 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (80238914)
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研究分担者 |
田野 恵三 京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (00183468)
宮武 伸一 大阪医科大学, 医学部, 特別職務担当教員(教授) (90209916)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 放射線治療生物学 / 休止期腫瘍細胞 / 急性低酸素領域 / 腫瘍血管正常化 |
研究実績の概要 |
腫瘍血管の内皮細胞のVEGF (Vascular endothelial growth factor)やVEGF 受容体を標的とするBevacizumab 投与などの血管新生阻害処置が「腫瘍血管正常化」を誘導する事が広く知られている。その「腫瘍血管正常化」期間中に、固形腫瘍内Q腫瘍細胞の感受性を選択的に検出する我々の手法を適応した解析では、腫瘍内の急性低酸素領域が効率的に解除される事がすでに明らかとなっている。さらには、腫瘍のシグナル伝達を阻害する事によって間接的にVEGFを標的とする、PI3K (Phosphatidylinositol-3-kinase)を介するtyrosine kinase receptor signalingの阻害効果を有するウォルトマンニンの投与でも同じく「腫瘍血管正常化」の期間が認められ、さらにはこの期間内に腫瘍内の急性低酸素領域が解除される事も我々の手法によってすでに明らかとなっている。 今年度は、「腫瘍血管正常化」を引き起こす事がすでに報告されているサリドマイドを用いて解析したところ、ウォルトマンニンの場合と同様に、「腫瘍血管正常化」の期間中に急性低酸素領域が解除されることが明らかとなっており、さらには、局所腫瘍からの遠隔肺転移も抑えられた。固形腫瘍内酸素化Q腫瘍細胞の感受性へのサリドマイド投与の効果に関しては、直接的には解析はされなかったが、放射線照射後の大きな回復能への影響の解析を次年度に施行の予定である。さらには、殺癌幹細胞特性が報告されたビグアナイド系経口抗糖尿病薬のメトフォルミンや低グルコース環境下で殺腫瘍細胞効果が増強される同じくビグアナイド系経口抗糖尿病薬のフェンフォルミンによる放射線照射後の大きな回復能への影響の解析も次年度に解析の予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
固形腫瘍内の酸素化休止期腫瘍細胞の感受性を選択的に検出するための手法に関しては、順調に確立されつつある。しかしながら、中性子捕捉療法のさらなる展開を大きな目的の一つとしているが、2011年3月の東日本大震災後に見直された新基準への研究用原子炉の対応状況を審査する原子炉規制委員会における作業が遅れているために、所属部局の原子炉の運転再開時期に関しては未だに未定という状況である。このために、原子炉中性子線ビームを用いた担腫瘍実験動物への照射実験の施行不可能な状況が続いていることが、本研究課題の進捗状況の遅れの大きな原因の一つと考えられる。 上記の今年度の「研究実績の概要」の後半部に記述されているように、平成27年度には、原子炉の運転再開が行われない場合であっても、一定の成果が得られるように、一般の放射線照射を含めた固形腫瘍内の腫瘍細胞のDNAを損傷する処置に対する酸素化休止期腫瘍細胞の感受性の増強を目指すことを目的とする計画に一部変更の予定である。
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今後の研究の推進方策 |
上記の「現在までの達成度」の後半部に記載したように、平成27年度には、原子炉の運転再開が行われない場合であっても、一定の成果が得られるように、γ線照射などの一般の放射線照射、抗癌剤投与などを含めた固形腫瘍内の腫瘍細胞のDNAを損傷する処置に対する酸素化休止期腫瘍細胞の感受性の増強を目指すことを目的とする計画に一部変更の予定である。 具体的には、平成26年度に明らかとなった「腫瘍血管正常化」を示す事が明らかとなったサリドマイドの併用投与や、殺癌幹細胞特性が報告されたビグアナイド系経口抗糖尿病薬のメトフォルミンや低グルコース環境下で殺腫瘍細胞効果が増強される同じくビグアナイド系経口抗糖尿病薬のフェンフォルミンの併用投与による、固形腫瘍内の酸素化休止期腫瘍細胞の感受性の増強の有無を確認したい。特に、メトフォルミンに関しては、現在、経口抗糖尿病薬として現実の糖尿病患者に頻用されており、上記の効果が明らかになれば、臨床現場への適応の可能性もかなり大きいと考えられる。 これまでの研究成果に基づき、DNA損傷処置後の回復能が高いとされる酸素化休止期腫瘍細胞の感受性の増強を目指すことを目的とする実験の施行のため、試薬、抗体などの薬品関係の購入に研究経費の多くを充てる予定をしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
固形腫瘍内の酸素化休止期腫瘍細胞の感受性を選択的に検出するための手法に関しては、確立されつつある。しかし、中性子捕捉療法のさらなる展開を大きな目的の一つとしているが、研究用原子炉の2011年3月の東日本大震災後に見直された新基準への対応状況を審査する原子炉規制委員会における作業が遅れているため、所属部局における原子炉運転再開時期に関しては未定である。このため、原子炉中性子線ビームを用いた担腫瘍実験動物への照射実験の施行不可能な状況が2014年6月以降続いたことが、本研究課題の進捗状況が遅れ、研究経費執行の遅れの大きな原因の一つと考えられる。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度には原子炉の運転再開が行われない場合であっても、一定の成果が得られるように、γ線照射などの一般の放射線照射、抗癌剤投与などを含めた細胞のDNAを損傷する処置に対する酸素化休止期腫瘍細胞の感受性の増強を目指すことを目的とする計画に一部変更の予定である。 平成26年度に明らかとなった「腫瘍血管正常化」を示す事が明らかとなったサリドマイドの併用投与や、殺癌幹細胞特性が報告されたビグアナイド系経口抗糖尿病薬のメトフォルミンや低グルコース環境下で殺腫瘍細胞効果が増強される同じくビグアナイド系経口抗糖尿病薬のフェンフォルミンの併用投与による、固形腫瘍内の酸素化休止期腫瘍細胞の感受性の増強の有無を確認したい。 DNA損傷処置後の回復能が高いとされる酸素化休止期腫瘍細胞の感受性の増強を目指すことを目的とする実験の施行のため、試薬、抗体などの薬品関係の購入に研究経費の多くを充てる予定をしている。
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