研究課題/領域番号 |
26670560
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中嶋 大 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (70570670)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | X線 / ASIC |
研究実績の概要 |
X線CCDの信号処理を高速化するためにASICを開発した。我々が本研究以前に開発したASICが、現在軌道上のひとみ衛星搭載CCDカメラに使用されているが、本研究ではそれを以下の点で発展させたものである。一つはアナログデジタル変換を行うデルタシグマモジュレ ータ回路を二次から四次に高次化することで、雑音整形性能を向上させた。これにより、ひとみ用ASICよりも少ないサンプリング回数で同等の雑音性能を得ることに成功した。また線形性能については積分非線形性が0.1%と、ひとみ用ASIC(0.2%)と比較して有意に向上している。もう一つは、高次化したADC回路により、信号系統ごとのADCの数を一つにすることが出来ている。ひとみ用ASICでは、1ピクセルあたりの信号処理に時間を要したため、各系統に2つのADCを実装し、それらを交互に動作させていた。これは、一枚の画像の中に異なるゲインを持つピクセルが交互に並ぶことを意味している。これによって最終的な天体画像を得るために後段の煩雑な画像処理を要求していた。本研究のASICでは単一のADCで全てのピクセルを処理することが可能なためゲイン補正が不要であり、ASIC出力を復号化すればすぐに画像が得られるようになった。さらに本研究で開発したASICは、低高度地球周回衛星を模擬した放射線損傷試験を行 った。放射線損傷には、陽子による経年劣化を受ける損傷と、重粒子による確率的な損傷の二つがあるが、その両方に対して、十分な放射線耐性を持つことが実証できた。以上の開発結果から、硬X線TDI実験を行う準備が整ったと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年6月、X線イメージセンサ用高速低雑音信号処理ASIC新規開発のための、X線カメラ概念設計を行ったところ、予想に反し、ASICの回路設計に対する要求を高くせざるを得ないことが判明した。そこで新規ASIC回路を概念設計段階から再検討することになったため、ネットリスト完成までの一連の計画を延期することとした。これに伴い、X線CCDと接続した分光性能評価実験を実施することが出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
ASICは平成27年度末までに完成したため、CCDカメラシステムとしての分光性能評価試験を行う。さらに、X線源を移動させた状態で、TDIカメラとしての動作検証を行う予定である。
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