研究課題/領域番号 |
26670565
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
熊谷 秀規 自治医科大学, 医学部, 准教授 (60364353)
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研究分担者 |
伊東 紘一 自治医科大学, 医学部, 名誉教授 (60095007)
谷口 信行 自治医科大学, 医学部, 教授 (10245053)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 超音波顕微鏡 |
研究実績の概要 |
マウスで脂肪肝および脂肪肝炎~肝硬変を作製し,超音波顕微鏡像を光学顕微鏡と比較して,組織構造学的評価を行った。また,ヒト小児のヒルシュスプルング病のパラフィン包埋大腸組織を用いて同様に観察した。肝臓組織は,安楽死後すみやかに切り出し医用超音波顕微鏡を使用して像を得た。80 MHzと320 MHz領域の超音波プローブを用いて画像と音響特性を取得した。光学顕微鏡像はヘマトキシリン・エオジン染色とアザン染色を行い観察した。ヒト大腸組織の観察では,パラフィンブロックを薄切し,観察直前に脱パラして超音波プローブを介して観察した。 <組織形態像>320 MHz帯のプローブを使用した肝臓の観察では,脈管構造や小葉構造がある程度識別できうる場合もあるが,同一の切片を用いて観察した光学顕微鏡像とは必ずしも一致せず,特に肝細胞への脂肪沈着の様子や線維の増生に関しては,分布や密度などに相違を認めた。一方,消化管に関しては,大腸の粘膜層や筋層が光学像とほぼ同様に描出され,320 MHz帯のプローブ観察では,ヒルシュスプルング病を診断する際のポイントとなる神経細胞節細胞が同定できうることが判明した。 今後,動物実験では肝硬変にともなう肝脂肪沈着の様子と線維化増生の変化をより密に観察する。消化管に関しては,ヒルシュスプルング病に関する神経節細胞の同定をex vivoで試みるほか,他の疾患に関してもデータを取得して解析を進める。特にヒルシュスプルング病の低侵襲検査を目指してデバイスの開発につなげていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脂肪肝炎疾患モデルを用いた研究において想定した結果が得られず,今後の対応に関する考察に時間がかかったため。 また,ex vivoの研究で,組織を静置させて観察する際に必要となる親水性のシートの販売が停止となったため,代用の品を探したり業者に作製を特注したりする必要が生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
我々が開発しているファイバーを介した超音波顕微鏡像の開発を進める前に,医用超音波顕微鏡を使用して基礎データの収集を行っているところである。研究用資材の供給がストップしたため代用品を特注し,現在ある程度満足のいく製品に仕上がっている。肝臓のみならず消化管のex vivoの実験を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗が遅れていることから,それに伴い当初予定していた実験が次年度に計画し直したため。さらに,論文作成にかかわる英文校閲人件費等についても次年度に繰り越ししたため。
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次年度使用額の使用計画 |
研究を仕上げて学会発表と論文発表を行う。それに必要な実験動物や器具,試薬のほか,学会参加の旅費と論文の英文校閲ないし投稿料に使用する計画である。
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