研究課題
アルファ線放出核種であるラジウム-223を用いた塩化ラジウム-233は、進行した前立腺がんの治療薬として、欧米において臨床使用されているが、わが国においても法整備等が整い、本年3月末に薬事承認された。日本で初めてのアルファ線核種の放射性薬剤である。ただラジウム-223を使った新しい標識化合物の作成は困難である。治療用のアルファ線放出核種の一つとしてアスタチン-211は、ヨウ素と性質が類似しており、アスタチン-211標識化合物の臨床応用が期待されているが、わが国における供給、製造体制は整備されていない。そこでサイクロトロンで照射後のターゲットからアスタチン-211を効率的に回収する方法について検討を行ったところ、回収溶液をエタノールと0.1N水酸化ナトリウム水溶液の混液に変更することで、ターゲットからの回収率を50%以上に高めることができた。一方、アスタチン-211の半減期が7.2時間と短いことから、腫瘍に集積するIgG抗体を用いた場合、腫瘍に集積する前に多くが減衰してしまう可能性がある。そこで抗体フラグメントであるFabを作製し、ヨウ素-125標識体による体内動態の検討を行った。その結果、FabはIgGよりも早い血液クリアランスおよび投与早期での腫瘍集積性を示したことから、アスタチン-211によるがん治療に用いる抗体としては抗体フラグメントが有用である可能性が示された。またアルファ線核種による治療に対する比較対照として、強力なベータ線放出核種であるイットリウム-90を用い、担がんマウスにおける治療実験を行ったところ、高い治療効果が確認できた。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
World J Nucl Med
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