研究課題/領域番号 |
26670569
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究 |
研究代表者 |
木下 学 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, その他部局等, 准教授 (70531391)
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研究分担者 |
異島 優 熊本大学, 薬学部, 助教 (00457590)
山本 哲生 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, その他部局等, 講師 (20647979)
加地 辰美 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, その他部局等, 教授 (50148110)
関 修司 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, その他部局等, 教授 (80531392)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 放射線 / ビタミンC / 抗酸化アルブミン / 被曝後投与 / 放射線防護材 |
研究実績の概要 |
当該年度は主にマウス全身照射モデルの確立とビタミンC照射後投与の効果を検討した。マウスに7.5 Gyの全身照射を施すと過半数が死に至るが、ビタミンC3 g/kgを被曝後腹腔内投与すると90%以上が生存し得た。この効果は被曝24時間後でも有効であり、また被曝直後と24時間後に1.5 g/kgずつの分割投与でも効果が認められた。予後改善にはビタミンCによる放射線骨髄傷害の軽減効果が影響していた。すなわち活性酸素の産生は照射後有意に抑制されていた。本研究成果をPlosOne 10, e0117020に報告した。また、ヘスぺリジンの骨髄での濃度を高めるため、投与レジメの工夫を行ったが、照射8時間前のbolus投与がやはり最も骨髄でのヘスぺリジン濃度を上げていた。ヘスぺリジンが放射線被曝時の還元型ビタミンC濃度を維持させるかは引き続き検討を行っている。抗酸化アルブミンとしてpolythiolated and mannosylated human serum albumin (SH-Man-HAS)を作製し、その抗酸化力をvitroで検証した。さらに活性酸素が関与する肝炎モデルであるCon-A肝炎やacetoaminophen肝炎でのSH-Man-HAS投与効果を検討しその有効性を確認した。これらの研究成果をJ. Pharmacol. Exp. Ther. 352; 244-257, 2015に報告した。一方、SH付加型アルブミンは現時点では放射線被曝マウスの予後を改善させ得ていない。今後はまず、放射線被曝マウスでの血中アルブミンの変化を検討して、どのような抗酸化アルブミンが放射線被曝防護に効果的であるかを検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ビタミンCが放射線被曝後の投与であっても予後改善効果があること、これが被曝後24時間までの投与であれば効果が認められることを明らかにした。ヘスぺリジン単独での放射線防護効果はビタミンCとほぼ同程度であったが、高線量被曝時(14Gy)ではビタミンC予防投与では認められなかった骨髄傷害軽減効果が認められ注目された。抗酸化力を強めたSH付加型アルブミンはvitroでの抗酸化力は増強するものの放射線被曝後のマウスの予後は改善し得なかった。今後はまず放射線被曝後の血中アルブミンの変化と、よりvivoで効力を発揮する抗酸化アルブミンを作製する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
ヘスぺリジンの放射線防護効果をヘスぺリジン単独ではなくビタミンCとのcombination投与で見てみる。この際の両剤の投与タイミングや投与量も検討する。抗酸化アルブミンに関しては放射線被曝によるアルブミンの変化を確認して、どのタイプの抗酸化アルブミンが放射線防護に有用であるかを製剤の面から検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験モデルの条件設定に時間を要したため、当該年度の実験が次年度に繰り越しとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に繰り越しとなった実験を行う
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