研究課題
最終年度は新規抗酸化剤による放射線防護効果の検討として、糖転移ヘスペリジンと新たに改良した抗酸化アルブミンS4-HSA、そして安定性の高いビタミンC化合物である糖転移ビタミンCの3つに関し検討を行った。1. 糖転移ヘスペリジンの放射線防護効果をマウス全身照射モデルにおいて検討した。糖転移ヘスペリジンの投与レジメは以前に行ったビタミンCの投与レジメに基づき作製した。7 Gyの全身照射では、糖転移ヘスペリジン投与群、非投与群共に全例生存したが、7.5 Gy照射では糖転移ヘスペリジン投与により生存率が20%から60%へと改善し、さらに8 Gyの全身照射では非投与群が全例致死であったのに対し、糖転移ヘスペリジン投与群では40%の生存が得られた。造血機能に関する評価でも糖転移ヘスペリジン投与により骨髄傷害の軽減が示唆された。糖転移ヘスペリジン投与で活性酸素代謝産物の発生は抑制されていたが、骨髄細胞のアポトーシスはやや遅延している程度に留まっていた。2. 抗酸化アルブミンとして従来のSH基ではなくさらに抗酸化力を高めたSSH基をアルブミンに修飾したものを作製し検討したが、7 Gyや7.5 Gyの全身照射マウスモデルで明らかな生存率の改善効果は認められなかった。3. 膀胱癌や直腸癌への放射線治療時には時に放射線腸炎を合併することがある。強力な抗酸化剤には放射線腸炎への防護効果が期待されるが、放射線治療時の抗癌効果を減弱することも懸念される。糖転移ビタミンCの放射線腸炎防護効果を、放射線抗腫瘍効果が減弱されないかに着目しラットで検討した。ラットに膀胱癌を生着させ、計40 Gyとなる分割腹部照射を行った。その際、放射線治療期間中に糖転移ビタミンCを経口投与したところ、放射線治療による抗癌効果を減弱せずに放射線腸炎に対する予防効果が認められた。
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