がん幹細胞と低酸素状態との関連の報告がなされ、低酸素病態イメージングの重要性が増しているものの、有効なイメージング技術が確立されていないのが現状である。我々は、低酸素状態のがん細胞が行うとされるフマル酸呼吸を画像化することを目的とし、11C標識フマル酸の自動合成法を検討したところ低酸素病態イメージングを可能とする新規核種の開発に成功した。本法により作られた11C-フマル酸は、担がんマウスを用いた実験で、動物用PET装置による画像化、ならびに解剖による体内分布の測定で、腫瘍への高い集積が認められた。今後ヒトでの有用性が認められれば、腫瘍PET検査のイメージング剤として広く利用される可能性がある。
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