研究課題/領域番号 |
26670578
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
金子 新 京都大学, iPS細胞研究所, 准教授 (40361331)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | iPS細胞 / T細胞分化 / 移植免疫 / 免疫制御 / 抗原特異的T細胞 / 再生T細胞 |
研究実績の概要 |
我々は、iPS細胞を介して再生した組織に対する免疫反応をコントロールすることを目標に、申請者が開発したiPS細胞由来のT細胞再分化誘導技術を用いて、移植片特異的なヘルパーT細胞と制御性T細胞を誘導し、その機能を評価することを目的とした研究を行っている。 同種移植片のソースとなるHLAホモiPSC細胞の供給に時間を要したため、今年度は先ず2種のパイロット抗原を標的とするCD4陽性の抗原特異的T細胞クローンを樹立し、iPS細胞へと初期化させた。 CD4陽性細胞への分化系に関する知見が不十分であることから、諸条件の最適化に時間を要したが、遺伝子改変技術などを用いることにより、抗原特異的なTCR反応性を有する再生T細胞をin vitroで誘導することに成功した。具体的にはそれらの抗原刺激に特異的な増殖応答とヘルパーT細胞様のサイトカイン産生を示すことを確認した。更には、これらの再生T細胞が樹状細胞を介して抗原特異的CD8T細胞を誘導できるヘルパー様T細胞であることを確認した。 今年度は転写因子の遺伝子導入を中心に制御性機能を持つ抗原特異的T細胞の誘導技術を開発するとともに、HLAホモiPS細胞に由来する同種抗原に特異的なTCRを持つT細胞をソースにiPS細胞を樹立し、機能的T細胞の誘導を試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
同種移植片のソースとなるHLAホモiPSC細胞の供給に時間を要したため、パイロット抗原での検討に留まっているが、本研究のコアとなる2つの機能的CD4陽性T細胞の一つであるヘルパー様T細胞の誘導に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
HLAホモiPSC細胞から誘導された最終分化細胞上の同種抗原を対象に、抗原特異的なT細胞を誘導し、それをソースとするiPS細胞を得たのち制御性機能を持つT細胞の誘導を試みる。
引き続きパイロット抗原特異的T-iPS細胞を用いて、転写因子の遺伝子導入を中心に制御性T細胞の誘導を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
iPS細胞の樹立や分化誘導法の最適化などの技術開発において、科研費による他の課題と共有することができた部分があり、今年度の研究費を抑制することができた。 またHLAホモiPS細胞の供給が若干遅れたため、研究費を必要とする段階が次年度に一部ずれ込んだ。
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次年度使用額の使用計画 |
研究内容が持ち越しとなっているため、今年度からの繰越分は、次年度中に全額執行予定である。
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