研究課題/領域番号 |
26670584
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
三高 俊広 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50231618)
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研究分担者 |
谷水 直樹 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (00333386)
市戸 義久 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (80452978)
水口 徹 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (30347174)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 肝前駆細胞 / 小型肝細胞 / 継代培養 / CD44 / 細胞増殖 / 肝細胞機能 / 細胞外基質 |
研究実績の概要 |
成熟ラット肝臓に存在する肝前駆細胞である小型肝細胞を分離培養し、小型肝細胞の大元の幹細胞を見出し、クローン化する手法の開発を行っている。小型肝細胞の特異的マーカーであるCD44に対する抗体を用いて小型肝細胞をソーティングし、2代目を細胞外基質をコートした培養皿で無血清培養を行った。小型肝細胞が特異的に増殖する細胞外基質を特定することができ、その基質上で小型肝細胞は4週間培養すると約3倍に増えることを見出した。増殖する細胞は肝細胞としての形態を維持し、albuminやHNF4alphaを発現している。肝細胞の特徴を維持しながら増殖する細胞であることを確認している。4週間目に細胞を分離し、3代目を同様に培養しても増殖を継続し、4週間で約2.5倍増加することを確認した。それらの細胞は肝細胞としての機能を維持し、Matrigel投与により、分化誘導可能でC/EBPalphaやCYPを発現するようになる。また、毛細胆管を形成し、Fluorescence Diacetateを投与するとFluorescenceを分泌できることを確認している。現在の所、同様の手法により、肝細胞の特徴を維持した細胞を5代目まで継代培養可能であることを確認している。これまでの研究成果により、肝細胞中にin vitroで50回以上分裂可能な細胞が存在していることが分かった。その細胞は、Matrigelに含まれる特定の細胞外基質に依存して増殖維持されることが分かった。特許化を目指しているので現時点では成果の詳細な公表を控えることとする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画した研究のかなりの部分を達成しつつある。小型肝細胞の大元となる幹細胞と推定可能な細胞を見出すことができた。現在、特許出願に向けて研究を進めている段階である。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、継代培養可能な小型肝細胞の特性を詳細に検討し、stemnessの維持機構を明らかにすることと、肝細胞への分化機序、in vivoでの肝細胞分化をモデルラット・マウスへの移植により明らかにしたいと考えている。また、同細胞が2分化性を持つ幹細胞か否かを検討するために胆管上皮細胞への分化能についても検討する。加えて、ヒト正常肝臓から分離した細胞から継代可能な小型肝細胞を分離する手法を引き続き検討する。ラットにおいて肝細胞機能を有する肝幹細胞をクローン化することができれば、ヒト肝由来細胞においても実現も可能になると思われる。
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次年度使用額が生じた理由 |
他の研究費で購入し目的に従って使用したが、使われずに余った細胞や試薬などを再利用することができたので、予定していた実験の一部は、本経費を使用することなく行うことができた。また、予備実験を多数行う必要があると思っていたが、予想以上に成果が順調に出たため、予定より少額で所定の成果を得ることができた。
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次年度使用額の使用計画 |
増殖する肝幹・前駆細胞の分子生物学的な解析や染色体解析も行うことにより、不死化や癌化の有無の検討を詳細に行うこと、また肝臓に移植することで病的肝臓の治療に使うことが可能か否かを検討するための動物実験に使用する予定である。
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