研究課題/領域番号 |
26670586
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
渡辺 太治 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20448723)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ミトコンドリア / 移植 / 心筋細胞 |
研究実績の概要 |
ミトコンドリア細胞移入がマクロピノサイトーシスによって行われることを我々の研究室が報告してきたが、その効率が低いことが大きな問題であった。特に、株化細胞においては極めて高率にミトコンドリアは取り込まれるが、初代培養細胞においては、そのドナーソースに関わらず総じてミトコンドリア移入の効果を確認できるだけの導入効率が得られなかった。HIV-1由来のアルギニンリッチな細胞透過性ペプチド(Cell-penetraing peptides: CPP)は、様々な分野で細胞内への取り込み向上に寄与する可能性が示唆されている。CPPに融合され膜透過が確認されたCargoは化合物から大きなタンパクや数百nmのリポソームにいたるが、細胞内小器官そのものの膜透過を補助するという報告はない。27年度はミトコンドリア細胞内導入効率向上のために、TATの修飾物質としてデキストランを選定し、TATデキストランの安定合成の検討を行った。また、合成されたTATデキストランを用いてラット新生児心筋細胞に対して、TATデキストラン修飾ミトコンドリアの移入効率の測定を行うと共にその効果を虚血刺激におけるアポトーシスの定量化によって観察した。具体的には、様々な条件でTATペプチドとデキストランはカルボニル反応性架橋剤(過ヨウ素酸ナトリウムとシアノ水素化ホウ素ナトリウム)を用いて結合させ、ミトコンドリア粒子径を変化せず、その外膜のマイナス電位を緩衝させる最適な条件を抽出した。至適化されたTATデキストランを用いることでミトコンドリアの株化細胞内への導入効率は有意に高くなり、ラット新生児心筋細胞におけるTATデキストランの添加量の検討にて、高効率の導入が可能であることを確認し、虚血刺激におけるアポトーシスの抑制をもたらすことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
効率的にミトコンドリアを細胞内に導入する手法を見つけることができた。TATは様々なタンパク質を細胞内に導入されることにも利用されていることから細胞毒性も低いことが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
本年度はTAT-デキストランがミトコンドリアの生理機能に与える影響について検討する。具体的には活性酸素種(ROS)産生と酸素代謝、ATP産生について検証する。ラット胎児由来心筋細胞にTAT-デキストラン修飾ミトコンドリアを導入し、導入細胞にROS産生刺激を加え、ROS産生の増減を未導入細胞と比較する計画である。また、TAT-デキストラン修飾ミトコンドリアの酸素消費及びATPを測定することで修飾の有無によるミトコンドリア機能への効果を調べる。
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