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2014 年度 実施状況報告書

小胞体ストレス誘導による転移・再発乳癌に対する革新的治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 26670589
研究機関東京医科大学

研究代表者

小松 誠一郎  東京医科大学, 医学部, 兼任助教 (40408208)

研究分担者 宮澤 啓介  東京医科大学, 医学部, 教授 (50209897)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードオートファジー / 乳癌 / 小胞体ストレス / プロテアソーム / アポトーシス / アグリソーム / リソソーム
研究実績の概要

細胞内のタンパク質分解機構として,ユビキチン・プロテアソーム系およびオートファジー・リソソーム系が存在する。筆者らは,マクロライド系抗生剤のクラリスロマイシン(CAM)のオートファジー阻害活性に着目し,乳癌細胞株において,プロテアソーム阻害剤であるボルテゾミブ(BZ)と同時添加培養することで小胞体(ER)ストレス負荷を介したアポトーシス誘導が増強されることを見出した。CAM単剤では細胞毒性は観察されず,二大タンパク分解機構の同時阻害がERストレス負荷に寄与していると考えられる。ER内の(正常な高次構造にフォールドされない)unfolded proteinはユビキチン化されプロテアソームで分解される一方,細胞質内でアグリソームを形成し,その一部はオートファジーで分解処理される。また,このアグリソーム形成にはヒストン脱アセチル化酵素6((HDAC6)の関与が報告されている。そこで本研究では,HDAC6阻害活性を有するボリノスタット(SAHA)を用いて,ユビキチン・プロテアソーム系およびオートファジー・リソソーム系に加えて,アグリソーム形成を同時に阻害し,ERストレス負荷の増大を試みた。
BZ/CAM/SAHAの3剤同時添加培養により,乳癌細胞株(MDA-MB231,MDA-MB468, BT-474)の全てでアポトーシスによる著しい殺細胞効果が誘導され,その効果は2剤の組み合わせ(BZ/CAM, CAM/SAHA, SAHA/BZ)をはるかに上回った。また,ERストレス関連遺伝子CHOP, GRP78, GADD34の発現が3剤併用で最も強く誘導され,転写因子CHOPの制御下にあるBAX, BIM等のアポトーシス関連タンパク質も上昇した。さらに,CHOPノックアウトマウス由来の線維芽細胞およびCHOPをノックダウンしたMDA-MB231細胞ではBZ/CAM/SAHAによる殺細胞効果が減弱した。
以上より,二大タンパク質分解系に加えてアグリソーム形成を抑制することで,ERストレス負荷を介したアポトーシスが効率的に誘導されることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ユビキチン・プロテアソーム系とオートファジー・リソソーム系の阻害に加えてアグリソーム形成を抑制することで,ERストレス負荷が著しく増大し,乳癌細胞の効率的なアポトーシス誘導条件が明らかとなった。

今後の研究の推進方策

乳癌培養細胞を用いたin vitroの結果について,in vivoの再現性を担癌マウスを用いた動物実験で検証する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Targeting the integrated networks of aggresome formation, proteasome, and autophagy potentiates ER stress mediated cell death in multiple myeloma cells.2015

    • 著者名/発表者名
      Moriya S, Komatsu S, Yamasaki K, Kawai Y, Kokuba H, Hirota A, Che XF, Inazu M, Gotoh A, Hiramoto M, Miyazawa K.
    • 雑誌名

      Int J Oncol.

      巻: 46 ページ: 474-486

    • DOI

      10.3892/ijo.2014.2773.

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2016-05-27  

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