研究課題
ホスト細胞内におけるウィルスゲノムのエピゲノム状変化の同定を行った。Akataシステムを用いて胃上皮細胞にEBウィルスをin vitro感染し時系列的にサンプルを回収し、DNAメチル化状態をパイロシーケンス法及びInfiniumビーズアレイを用いて解析した。ホストゲノムの異常メチル化誘導に先立って起きるウィルスゲノムに対するメチル化誘導を検証した。クロマチン状態の変遷を明らかとするため、pan-H3, H3K4me3, H3K27ac, FAIRE解析を行い、感染後のフリーDNAの状態、修飾のないヒストンに巻き付いた初期エピソーム状態、DNAメチル化やヒストン修飾の入った状態への変遷を検証した。lacOリピートを挿入したEB-multiベクター(EB-lacO)の293細胞へのトランスフェクシンを、ウィルス感染を模したモデルとして行い、EB-lacOのDNAメチル化状態の変遷をパイロシーケンス法により定量的に解析した。ホスト細胞内のEBウィルスゲノムやEB-lacOのエピゲノム状態を可視化するため、まずウィルスゲノムおよびEB-lacOをin vitroにメチル化したサンプル及びメチル化していないサンプルに対しGFP-MBD蛋白を添加し、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて観察し、GFP-MBD蛋白のメチル化DNAへの結合を検証した。ビオチン化したEB-lacOをトランスフェクションしたのちストレプトアビジンを利用してEB-lacOを回収することで、ホスト細胞からの時系列的なEB-lacOの回収を行った。回収したEB-lacOに対し、Westernブロットを行いEB-lacOとEBNA1蛋白との結合を確認した。今後、回収前のEB-lacOのエピゲノム状態の可視化、回収後のEB-lacOのAFM下での可視化、EB-lacOに結合するエピゲノム変化誘導因子の同定を行う。
2: おおむね順調に進展している
ホスト細胞内のEBウィルスゲノムやEB-lacOのエピゲノム状態の時系列的な変化データを順調に取得した。エピゲノム状態の可視化として、メチル化DNAとMBD蛋白の結合をAFM下に観察できることを検証し、またビオチン化EB-lacOのホスト細胞内からの時系列的な回収まで進捗した。順調に2年目にその可視化を進める予定である。
平成27年度は、EB-lacOをトランスフェクシンした293細胞に、mCherry-MBDおよびGFP-lacRを発現させる。EB-lacOゲノムを細胞内でGFP-lacRの結合により可視化し、そのDNAメチル化状態の変遷をmCherry-MBDの結合により可視化する。またビオチン化EB-lacOをストレプトアビジンを用いて時系列的に抽出し、AFM下に観察し、MBD蛋白の結合などによるエピゲノム状態の検証を行う。EB-lacOへの結合蛋白を、LC/MS/MSを用いて質量分析し複合体蛋白質の同定を行う。
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