研究実績の概要 |
予後不良の進行食道癌ならびに胃癌の腹膜播種症例における血中遊離核酸ならびに血中エクソソーム、腹水中のエクソソームを同定し、次世代シークエンサーにより遺伝子変異の解析を行う。検出した分子から新たな浸潤・転移に関連する分子、がん幹細胞や薬剤への耐性に関連する分子群を同定する。新たなバイオマーカーの確立、新たな浸潤・転移に関連する分子、がん幹細胞などを標的とした創薬を可能とし、将来的に有望なシーズとなりうる。 蛍光イメージングに基づく食道癌細胞由来エクソソームの細胞間・生体内挙動の解析、食道癌におけるエ クソソームマーカーCD63の臨床病理学的解析, 血漿中エクソソーム定量によるバイオマーカーとしての有用性評価 を行うため、癌細胞エクソソームの可視化のため,エクソソームマーカーであるCD63とGFPのbinding proteinを発現す るウイルスベクターをヒト食道癌株(TE2, T.Tn)に導入した.CD63-GFP の導入されたヒト食道癌細胞株を樹立しすることができ, 蛍光標識されたエクソソームの抽出,細胞間エクソソーム伝達を評価し得た.マウスモデルにおける腫瘍, 臓器, 血漿の蛍光イメージングによりin vivoでの挙動評価が可能となった. 臨床検体に関して,食道癌切除標本のCD63免疫組織染色により臨床病期・予後との関連 につき評価した.さらに血漿中のエクソソームをCETP(Cholesteryl Ester Transfer Protein)活性により定量し, バイオマー カーとしての有用性を評価した.切除標本におけるCD63免疫組織染色では癌部が非癌部に比して濃染し, また陽性群では陰性群に比して有意に予後不良であった. 血漿中のエクソソーム量は健常群ではほぼ一定であるのに対し食道癌患者血漿では健常の2倍以上となる例を認めた。
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