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2014 年度 実施状況報告書

エクソソームを利用した癌早期診断法および新規核酸治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 26670602
研究機関大阪大学

研究代表者

玉井 皓己  大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (60724250)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワードエクソソーム / microRNA(miRNA) / 膵癌 / 早期診断
研究実績の概要

膵癌の既存の腫瘍マーカー(CA19-9.CEA,DUPAN-Ⅱなど)では感度・特異度が不十分であり早期発見が難しい。また、組織学的悪性度が高く抗癌剤耐性なども関与し予後不良の原因とされている。近年、癌の発育、転移や抗癌剤耐性にmicroRNA(miRNA)の関与が報告されており、さらに癌細胞から分泌されるエクソソームによるmiRNAの運搬が報告されている。研究の目的として、癌由来エクソソームmiRNAを利用した早期診断法、またエクソソームをDrug Delivery Systemとした新たな治療薬の開発を目指す。
今年度の研究成果として、エクソソーム分離法に関しての検討を行った。エクソソーム分離法に関しては、超遠心法や密度勾配法、表面マーカーを用いた免疫沈降法、ポリマーを用いた抽出試薬の使用など様々なものが存在する。これらを目的に応じて選択することが重要である。抽出試薬の使用は簡便で精度が安定している一方、コンタミネーションの可能性が指摘されている。そのため、超遠心法と抽出試薬で回収したエクソソームをプロテオソーム解析したところ、回収物に大きな差はないことがわかった。そのため、エクソソームの早期診断法への応用に抽出試薬法を用いることとした。
治療ターゲットmiRNAの網羅的解析を行った。今年度は薬剤耐性膵癌細胞株/培養上清エクソソームより抽出したmiRNAを用いてマイクロアレイを行い、薬剤耐性に関連するmiRNAの同定を行った。現在候補のmiRNAのin vitroでの機能解析を行い確認している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

エクソソーム中のmiRNAの分離方法は超遠心法や密度勾配法、表面マーカーを用いた免疫沈降法、ポリマーを用いた抽出試薬の使用など様々なものが存在する。今後の臨床応用や測定精度などを考慮した上で、分離方法を確立することに時間を要したため、癌患者腫瘍由来エクソソームや血清エクソソームなどの抽出は施行に至らなかった。しかし、抽出試薬にてエクソソーム中のmiRNAを回収するとこの安定性や精度をプロテオソーム解析やバイオアナライザーでのRNA評価などにて確認でき、またmiRNAの回収手技が確立したことにより、大阪大学消化器外科でストックしている①切除前後・化学放射線治療前後における血液サンプル、②治療抵抗症例/感受性症例サンプル、③各ステージの癌患者血漿(or血清)腫瘍由来エクソソーム、④手術切除標本の癌部/癌間質部/非癌部組織を用いて、腫瘍特異的、薬剤耐性関わるものや腫瘍の進行度および癌細胞-間質細胞相互作用に関連する候補となるmiRNAの同定が進められると考えられる。候補となるmiRNAを同定し、臨床情報と照らし合わせて解析を行っていく予定である。
また薬剤耐性膵癌細胞株/培養上清エクソソームのマイクロアレイは既に実施しており、候補となるmiRNAも同定できている。今後は網羅的解析によりピックアップされたmiRNAについてin vitroでの機能解析やvalidationを行う。また臨床検体での解析とも併せて
エクソソーム中のmiRNAを測定することで抗癌剤耐性のマーカーとしての有用性を見いだしていく。

今後の研究の推進方策

今後の方針としてIn vitro、in vivoにおけるエクソソームを利用したdrug delivery systemの開発を予定している。細胞内で目的のmiRNAの発現を上昇させることで、そのmiRNAを高発現するエクソソームを分泌されることが明らかにされている。また、細胞株へのtransfectionと同様に、エクソソームにsiRNAを導入できることも明らかにされた。これらの技術を応用し、エクソソーム内に目的のmiRNAを高発現させることや、pre-miRおよびanti-miRを導入し、drug deliveryのためのエクソソームを作成する。エクソソームは正常細胞(fibroblast、ADSC(adipose-tissue derived stem cell)など)から抽出したものを使用する。エクソソーム内に高発現させた目的のmiRNAの発現量はPCR法により確認する。作成したエクソソームはPHK67で蛍光標識し標的細胞に取り込まれることを確認する。また、エクソソームにtransfectしたmiRも同様にCy3、Cy5などで蛍光標識が可能であるため、標的細胞への取り込みを確認できる。作成したエクソソームを標的細胞に作用させた後に、proliferation assayにより増殖能の変化、MTT assayにより抗癌剤耐性の変化を確認する。また、抗癌剤の投与、抗癌剤との併用投与も行い、それらの効果の比較も行う。
次にin vivoでの効果を検証する。同様に蛍光標識したエクソソームを用いて、体内動態、臓器分布を観察する。NOD/SCIDマウス皮下腫瘍モデルを作成し(1)pre-miRおよびanti-miR導入エクソソーム、(2)コントロールのエクソソーム投与による抗癌剤感受性を確認する。

次年度使用額が生じた理由

今年度に必要な物品を購入したため。

次年度使用額の使用計画

来年度に必要な物品を購入するため。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 膵癌細胞株におけるエクソソームを介した薬剤耐性獲得機構の解明2014

    • 著者名/発表者名
      三賀森 学
    • 学会等名
      第115回日本外科学会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2014-04-18 – 2014-04-18
  • [学会発表] 低酸素下における膵癌細胞由来エクソソームが癌細胞の悪性度に与える影響2014

    • 著者名/発表者名
      梶原 淳
    • 学会等名
      第114回日本外科学会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2014-04-05 – 2014-04-05

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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