研究課題/領域番号 |
26670612
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究 |
研究代表者 |
平木 修一 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 外科学, 助教 (40638839)
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研究分担者 |
守本 祐司 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 分子生体制御学, 准教授 (10449069)
小野 聡 東京医科大学, 医学部, 教授 (30531355)
宮崎 裕美 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 防衛医学研究センター 外傷研究部門, 助教 (30531636)
長谷 和生 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 外科学, 学長 (50511268)
木下 学 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 免疫・微生物学, 准教授 (70531391)
辻本 広紀 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医療安全・感染対策部, 教授 (80554998)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 光線力学療法 / H.pylori |
研究実績の概要 |
Helicobacter pylori(HP)感染は、WHOによって胃癌の危険因子に指定され、現在ではHP感染症症例に対する抗菌薬を用いたHP除菌が積極的に推進されている。その一方で、除菌不成功例や、耐性菌の蔓延に対する具体策はまだない。抗菌薬を必要とせず、耐性菌誘導の懸念がない全く新しい除菌法を開発することは、胃癌をはじめとしたHP感染症関連疾患に対する有効な治療法の一つとなることが期待される。新たな除菌法の開発を目的とし、切除検体を用い、胃粘膜に光増感剤を塗布し光線力学療法(PDT)を行ない、その除菌効果を実験的に検討した。2015年4月より2016年10月までの間、防衛医科大学校病院外科において胃切除手術が予定された患者のうち、術前の内視鏡検査等にてHP感染が確認され、研究参加に同意の得られた症例を対象とした。切除検体の一部を用いて、その粘膜に生理食塩水もしくはメチレンブルーを塗布の後、波長660nm、強度325mW、100秒間照射によるPDTを施行した。その除菌効果を迅速ウレアーゼ法と培養法で確認した。【結果】HP感染が確認されたのは26症例。男性20例女性6例。平均71歳(50-83歳)。うち2症例は切除検体では迅速ウレアーゼ法でHPが確認できなかったため除菌効果判定の検討からは除外となった。PDT後の迅速ウレアーゼ法陰性化は24症例中24症例(100%)に確認できた。一方で、培養法による効果判定は8症例で行ない、うち5症例(62.5%)で培養陰性となった。また、組織学的(ヘマトキシリン・エオジン染色標本)に、PDTによる胃粘膜上皮細胞への明らかな障害は確認されなかった。 胃切除検体を用いて、PDTによるHP除菌効果が確認できた。この新たな除菌法が有用である可能性が窺えたものの、臨床応用のためにはさらなる検討が必要と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対象となるH.pylori陽性の胃癌症例が、研究開始時の想定よりも少ないため。
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今後の研究の推進方策 |
迅速ウレアーゼ法での評価では、一定の効果が得られることはすでに結果を得られているが、さらに培養法での精密な治療効果を確認し、結果を公表したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究継続とその論文作成・結果公表に当たる経費を使用しなかったため
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次年度使用額の使用計画 |
研究発表、論文作成と研究に必要な消耗品に経費を充てる予定である
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