研究課題/領域番号 |
26670622
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研究機関 | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
武輪 能明 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (20332405)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ステントバルブ / TAVI / 経皮的心臓弁置換 / 自己組織由来心臓弁 / 組織工学 / 生体弁 |
研究実績の概要 |
我々が開発中のバイオバルブ人工弁組織体は、動物体内をリアクターとして、高分子製鋳型を皮下に1~2ヶ月埋入することで自動的に形成される自己組織体である。これまでラットや兎、ビーグル犬から山羊などの大動物までバイオバルブ組織体が作製できることを確認している。今年度はこれとステントを組み合わせたバイオバルブステントの作製も可能かどうか調べた。 ① 大動物皮下でのバイオバルブステント作製用鋳型埋入期間と組織体の形成能の評価 実験方法:成ヤギを麻酔下、手術的にバイオバルブ作製用鋳型に金属ステントを組み込んだものを複数個皮下に埋入した。1-2ヶ月後に周囲に形成された皮下組織体と共に作製用鋳型を取り出し、組織、力学的性質、機能性を評価し,埋入期間と組織体の形成能の関係を調べた。その結果、皮下埋入後6-8週間で、3枚の弁葉とステントが一体となった組織体が形成されることが確認できた。 採取した組織体の組織学的性状を組織染色(HE,エラスチカファンギソン,マッソントリクロム,αSMA染色)で観察したところ、厚さ約200 umの膠原線維と線維芽細胞を主とする組織で形成されていることが確認された。 ② 摘出したバイオバルブステントの模擬循環装置によるin vitro評価 摘出したバイオバルブステントの力学的性質をモック回路を用いた模擬体循環回路にて検討したところ、体循環に近い循環動態(血圧、流量、心拍数等)にて、十分な耐用性を有していることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度は、大動物皮下でのバイオバルブステント作製用鋳型埋入期間と組織体の形成能の評価のみを行う予定であったが、摘出したバイオバルブステントの模擬循環装置によるin vitro評価も行うことが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
皮下で作製したバイオバルブステントを用いて大動物による経カテーテル的大動脈および肺動脈移植術の急性実験を行い、同法が臨床応用可能かを評価する。余裕があれば、そのまま慢性実験に移行し、バイオバルブステントの性能を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度には、大動物を用いた急性実験および慢性実験を集中して行う方針としたこと、および本年度得られた画期的な成果を国際学会で積極的に披露することとしたことにより、予想より多額の費用が必要であると予測されたため、本年度の一部を繰り越すことにした。
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次年度使用額の使用計画 |
急性実験および慢性実験に使用する、大動物の購入費および付随して使用する消耗品の購入費用および国際学会への旅費に充足する予定である。
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