研究課題/領域番号 |
26670625
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
鈴木 元 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80236017)
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研究分担者 |
福井 高幸 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (70463198)
若原 恵子 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00631433)
加藤 省一 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30584669)
西田 篤司 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (80130029)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | がん幹細胞 / 肺癌 / 抗癌剤 / 分子標的治療薬 |
研究実績の概要 |
1.候補タンパク質の肺癌幹細胞特性に対する機能を明らかにする。 がん幹細胞因子の抽出と腫瘍形成に対する影響:癌幹細胞の一つの特徴は少数の細胞で腫瘍形成を行うことである。候補遺伝子が癌幹細胞因子か否か決定するため、臨床検体由来肺癌幹細胞を用いて以下の実験を行った。 臨床検体を一旦ゼノグラフトとしてマウスに移植、腫瘍サイズを増大した。ゼノグラフト回収後、コラゲナーゼ処理、癌幹細胞培養条件下で培養した。CD166ソーティングによって癌幹細胞を濃縮、1000個の細胞をマウスに移植。腫瘍形成の有無を観察した。平成26年度中に40検体を用いて実験を実施したところ、一ゼノグラフトでCD166陽性細胞に腫瘍形成が観察された。この検体より培養細胞を確立した。癌幹細胞性に関わる分子メカニズムを明らかにするため、特定遺伝子のノックダウンおよび遺伝子導入を行ったが一部の細胞を除いて遺伝子操作は困難であった。既存のデータベースから肺癌関連遺伝子の抽出を行い、さらに、2次スクリーングとして、がん幹細胞関連遺伝子の抽出を行い、複数の候補を得た。 2. 肺癌幹細胞に対する分子標的治療薬開発を行う。 2000種からなる低分子化合物ライブラリーを用いてスクリーニングを行い、標的候補タンパク質の酵素活性に対する阻害剤をスクリーニングした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1. がん幹細胞因子の抽出と腫瘍形成に対する影響 40の臨床検体を用いて予定通りの実験を行った。CD166陽性細胞での腫瘍形成を観察した。一方、遺伝子導入とノックダウンは困難であることが判明した。また、データベーススクリニングにより、複数のがん幹細胞因子候補を抽出した。 2. 予定数を上回る低分子化合物のスクリーンを実施した。
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今後の研究の推進方策 |
1.候補タンパク質の肺癌幹細胞特性に対する機能を明らかにする。 平成26年度の研究より、臨床検体を用いることで肺癌幹細胞研究を行うことが可能であると考えられた。しかし、ゼノグラフト及び培養細胞作製効率は低い。その中から癌幹細胞研究に用いられるものはさらに低くわずか1検体であった。また、ノックダウン、遺伝子導入の点で困難な点が明らかとなった。新たに明らかとなったこの2つの問題点を克服するため、平成27年度は培養細胞を用い、がん幹細胞研究を可能とする実験系の確立を行う。すなわち、培養細胞をいったんマウスに接種してゼノグラフトを作成、これを使用することで臨床検体に準じた実験が可能となるか否か検証を行う。可能であると判断された場合、この組織を用いて各種遺伝子の機能を明らかにする。一方、規模を縮小しながら、臨床検体よりの実験も継続して行い、引き続き新規細胞株の樹立を目指す。 2.スクリーニングを継続するとともに、これまで得られた化合物の酵素阻害活性及び表現型に与える影響を細胞およびマウスレベルで明らかにする。
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