研究課題/領域番号 |
26670629
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
土谷 智史 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (30437884)
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研究分担者 |
下川 功 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (70187475)
山崎 直哉 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (70404217)
永安 武 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80284686)
樋上 賀一 東京理科大学, 薬学部, 教授 (90253640)
秋田 定伯 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (90315250)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 肺 / 再生 / 脱細胞化 / 再細胞化 / バイオリアクター / 肺移植 |
研究実績の概要 |
脱細胞化、再細胞化技術は、現時点では肺の再生技術として最有力であると考える。本研究はラットモデルを使用して同技術で肺を再生するとともに、脱細胞化経路や潅流液等を完了し、脆弱性を改善したより成熟した再生肺を創出することを主目的とする。そのために、i) 強ナトリウム溶液による脱細胞化、ii) 閉鎖回路を使った気管経路の脱細胞化、iii) 再細胞化時の組織ライブイメージングと脂肪幹細胞による血管内皮再細胞化肺の移植、iv) Polyethylene glycol (PEG)による再生肺の潅流;Immuno-camouflage、以上4つの実験を行うこととした。 i) 強ナトリウム溶液による脱細胞化;脱細胞化液中のSDSやCHAPS等の界面活性剤は、もともと蛋白を変性、溶出させるための溶媒で、組織障害を伴う。これを使用せず、強ナトリウム溶液のみで脱細胞化した。組織障害の軽減に関しては従来のものと同程度で、コスト減は図ることができた。現在論文作成中である。 ii) 閉鎖回路を使った気管経路の脱細胞化;このゆるやかな潅流では、胸膜下の肺胞から中枢気道までの均一な脱細胞化が可能で、圧力学上も基底膜は破壊されにくかった。一方で組織マトリックスは通常の脱細胞化法に比べ減少し、より厳格な脱細胞化法であることが分かった。2016年、Bioresearch Open Accessに投稿し、受理されている。 iii) 再細胞化時の組織ライブイメージングと脂肪幹細胞による血管内皮再細胞化肺の移植;脂肪幹細胞を肺動脈から血管内皮細胞とともに生着させて再細胞化し、肺の成熟、抗炎症に寄与するか、肺移植後に組織学的に調べた。また、血管内皮細胞、脂肪幹細胞をGFP等で標識して、組織ライブイメージングでその生着する状況を描出した。現在、論文作成中である。 iv)については、現在研究中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本事業で提案した4件のうち1件は論文化され、2件は論文作成中であり、ほぼ終了しているため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で提案した、以下の4件の今後の推進方策について述べる。 ii) 閉鎖回路を使った気管経路の脱細胞化、については、研究終了とするが、今後はこの技術を使用して、脱細胞化研究を推進することとする。 i) 強ナトリウム溶液による脱細胞化、については論文化しているが、組織マトリックスの減少の軽減効果は予想より小さく、従来のSDSを使用した手法に比べてもコストダウン効果も小さいため、従来のSDSを使用したものから変更する根拠にはならなかった。 iii) 再細胞化時の組織ライブイメージングと脂肪幹細胞による血管内皮再細胞化肺の移植、については、現在論文化している所である。また、脂肪肝細胞の血管内皮細胞へのさまざまなPositiveな効果を認めたため、今後も併用していく方針である。 iv) Polyethylene glycol (PEG)による再生肺の潅流;Immuno-camouflage、については、本年でできる範囲で研究を進める。
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