胸腺癌における、癌細胞特異的発現を示す中性アミノ酸トランスポーターLAT1の発現の有無、ならびにその発現制御に関わる癌遺伝子cMycの関連性(cMyc-LAT1 axis)を明らかとすることを目的として、胸腺癌由来培養細胞Ty82を用いた検討を行った. 胸腺癌細胞にLAT1が発現していることをwestern-blotにて、確認した.LAT1の特異的阻害薬であるJPH203にて、胸腺癌細胞の発育は阻害された.その機序としてアミノ酸欠乏状態がmTORの不活化を介していることを、S6 kinase(S6K)、eukaryotic initiation factor 4E-binding protein 1(4E-BP1)のimmunoblottingにより示した.すなわち、JPH203は濃度依存的に胸腺癌細胞におけるS6Kを脱リン酸化し、4E-BP1をリン酸化した. LAT1の特異的阻害薬であるJPH203は、胸腺癌細胞に対する抗腫瘍効果を持つことが示唆された.一方、胸腺腫にはLAT1の発現を認めなかった。
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