研究課題/領域番号 |
26670633
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
鎌田 恭輔 旭川医科大学, 医学部, 教授 (80372374)
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研究分担者 |
竹内 文也 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (30281835)
大城 理 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (90252832)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | Neuronavigation / Florescence / Sensory feedback / Virtual reality |
研究実績の概要 |
脳幹部近傍病変の手術には、狭い手術野内で重要構造物の位置関係把握と精密かつ、愛護的な操作が必要である。より安全な脳幹近傍部病変の手術のため術野の脳機能、脳血流情報などを顕微鏡使用下で同時観察できる装置を開発中である。本年度は特に蛍光信号処理に特化した研究を行った。蛍光信号を用いた臨床製剤は2つある。1つはインドシアニングリーン(ICG)、もう一つは5アミノレブリン酸(5ALA)である。ICGは脳血管内で発色し血流を可視化する。この時系列的な濃度変化を計測することとで、非侵襲的に脳血流計測装置を開発した。5ALAは腫瘍に特異的に取り込み630nmほどの蛍光を発する。この蛍光強度を顕微鏡搭載分光器で分光して、蛍光強度を定量した。定量したサンプルを液体窒素内に保存し、組織サンプル内の代謝産物、酵素の定量をおこなっている。本法は光光線療法の原理に類似し、今後の腫瘍治療効果の解明に役立つものと期待できる。ICG血流計測ソフトウエアでは覚醒下手術にも応用して、言語課題遂行時には前頭、側頭言語野の血流速が早くなることを確認している。本年は顕微鏡で見えなかった信号を術者にフィードバックする装置の開発を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ICG脳血流画像解析ソフトウエアは、国内特許申請、薬事申請を行い、さらに国際特許を米国、ヨーロッパ、および中国に提出中である。血流計測により脳機能を読み取ることができる可能性も高く、脳血管の判別関数による機能読み取りに取り組んでいる。一方5ALAでは顕微鏡の焦点距離、倍率に合わせた信号強度補正の導入、さらに自然光と蛍光部の自動位置合わせなどのソフトを開発している。本法は国内特許申請中、国際特許出願支援を科学技術振興機構より得ている。
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今後の研究の推進方策 |
蛍光信号と自然光を同時に検出できるセンサーを開発する。その開発には三菱エンジニアリングと共同開発中である。ナビゲーション装置の位置の計測には超高速カメラを最低3第購入する必要があり、壁面形状ではなく顕微鏡本体の認識ソフトウエアの作成を行う。 また、蛍光画像の3D表示、時系列処理ソフトウエアの組み込み、血液信号抑制レーザーの開発を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
赤外線トラッキング装置と微小構造三次元画像を連結したナビゲーション装置を開発し、その精度検証を行った。装置は臨床上使用可能な精度であると確信した上で、3次元画像を立体視可能な大型モニターに表示した。しかし術中の頭位、体位変更を修正する座標用リファレンス固定装置が未完成である。またバーチャルリアリティー手術のための触覚フィードバック装置と3次元画像との融合システム開発が遅れている。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は位置補正用チタン製リファレンス装置を作成・購入し、術中CT、MRI装置対応型ナビゲーション装置を完成する。さらに手指位置登録用グローブを購入、多点皮膚電気刺激装置(開発中)を完成して、人工触覚システムを構築する。この人工触覚システムと3次元画像が連動するようなバーチャルリアリティー手術を行えるようにする。さらに顕微鏡にもリファレンス装置を装着し、顕微鏡ガイド下三次元微小構造ナビゲーションを開発する。
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