がんでしばしば認められる糖代謝亢進ががん細胞にとってどのような意義があるかについてはいまだ不明な点が多い。本研究課題では糖代謝ががん幹細胞状態の調節器としてグリオブラストーマ幹細胞の維持に重要な役割を果たしているという作業仮説の検証を試みた。グリオブラストーマ幹細胞の糖代謝を調節する目的でグルコーストランスポータの一つGLUT1の機能を抑制したところ、糖代謝抑制とともに細胞内活性酸素レベルの上昇が観察され、同時に幹細胞性の喪失が認められた。これらの結果は糖代謝が細胞内活性酸素レベルの調節を通じてグリオブラストーマ幹細胞のがん幹細胞状態維持に寄与している可能性を示唆しているものと考えられた。
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