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2015 年度 実績報告書

疼痛を惹起する新規因子の同定と機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 26670643
研究機関大阪大学

研究代表者

山下 俊英  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10301269)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード神経科学
研究実績の概要

神経障害性疼痛は発症機序が非常に複雑でいまだに根本的な治療方法が開発されていないことが臨床上の重大な問題となっている。有効な治療薬を開発する為には、神経障害性疼痛の発症・維持に関わる分子メカニズムを明らかにし、新規標的分子を同定する必要がある。特に疼痛発症の主な原因箇所である、脊髄後角内での現象および機構を明らかにすることは、疼痛治療薬の開発のために非常に重要である。我々は神経障害性疼痛に関与する因子として、ネトリン(Netrin)に着目した。ネトリンは発生・発達期の軸索ガイダンス、細胞移動、細胞生存、神経突起形成、シナプス形成に関与していることが報告されているが、成体脳における役割はほとんど明らかになっていない。我々はネトリンファミリーの一つであるNetrin-4が疼痛発症に関与していることを見いだした。Netrin-4は成体脊髄において後角2層内側に局在する介在神経細胞に発現していた。Netrin-4遺伝子が欠損した動物の痛覚刺激に対する応答について検討したところ、神経障害性疼痛および炎症性疼痛が引き起こされないことを見いだした。またNetrin-4 siRNAを脊髄髄腔内に投与した実験でも同様の傾向が見られた。一方で、脊髄髄腔内にNetrin-4タンパク質を投与すると、動物は痛覚過敏を示した。Netrin-4は脊髄神経細胞に発現するUnc5B受容体と結合して、チロシン脱リン酸化酵素SHP2を活性化させることでアロディニアを引き起こすことがわかった。Unc5B siRNAあるいはSHP2阻害剤を脊髄髄腔内に投与すると神経障害性モデルにおける機械性アロディニアの発症が抑制された。以上の結果より、脊髄後角の神経細胞に発現するNetrin-4は、脊髄後角内において疼痛を惹起する因子であることが示された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015 その他

すべて 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] Unc5B受容体結合分子群による脊髄感作の新規分子メカニズム2015

    • 著者名/発表者名
      早野泰史、山下俊英
    • 学会等名
      生理学研究所研究会「痛みの理解を目指した 先端的アプローチ」
    • 発表場所
      生理学研究所(岡崎市)
    • 年月日
      2015-12-18
  • [備考] 大阪大学大学院医学系研究科分子神経科学

    • URL

      http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/molneu/index.html

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公開日: 2017-01-06  

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