研究課題/領域番号 |
26670644
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
伊達 勲 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70236785)
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研究分担者 |
黒住 和彦 岡山大学, 大学病院, 講師 (20509608)
杉生 憲志 岡山大学, 大学病院, 准教授 (40325105)
安原 隆雄 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (50457214)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | Bevacizumab / Integrin / Molecular targeted drug / invasion / glioma |
研究実績の概要 |
悪性グリオーマは手術療法,化学療法,放射線療法を併用しても予後は極めて不良である。2013年6月から本邦でBevacizumab が悪性神膠腫に対する治療薬として認可され、新規血管新生抑制剤の使用が開始された。また、分子標的治療薬のインテグリンαvβ3, αvβ5 の阻害薬であるcilengitide は、海外において膠芽腫症例に対する臨床試験が行われた。今回、我々はBevacizumab とインテグリン阻害剤を併用することにより、抗浸潤効果、抗グリオーマ効果が得られるか否かについて検討した。ヒトグリオーマ細胞U87ΔEGFR をヌードラット脳内に移植し、5 日目よりcilengitide (Merck KgaA&CTEP, NIH) あるいはbevacizumab (Chugai Pharmaceutical Co) を腹腔内投与(3 回/週)し、無治療群、bevacizumab 単独治療群及びbevacizumab、cilengitide 併用治療群に分けて、いずれも移植後18 日目に摘出した脳内腫瘍組織を観察した。無治療群では腫瘍血管密度が高く境界明瞭な腫瘍を形成するのに対し、bevacizumab治療群では腫瘍血管密度は減少するものの腫瘍境界部では浸潤性変化が観察された。一方、bevacizumab、cilengitide併用治療群ではbevacizumab単独治療群と比較し、腫瘍の浸潤性変化は有意に抑制されていた。各治療群における浸潤度の違いとともに腫瘍血管周囲の形態的変化がみられた。Integrin阻害剤の併用治療によりbevacizumab治療後の脳腫瘍浸潤性変化が減少し、浸潤関連因子の発現が抑制されていた。グリオーマ浸潤におけるintegrinの重要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
薬剤について、本研究のセットアップを行うことができた。また、Bevacizumab 単独での効果と影響を確認することができた。さらに、Bevacizumab とCilengitide を併用することにより、抗浸潤効果が得られるか否かについて検討することができた。以上が理由となる。
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今後の研究の推進方策 |
さまざまな脳腫瘍モデルを用い、抗浸潤効果を得ることができるかについて検討する。分子標的薬CilengitideとBevacizumabとの併用群とBevacizumab単独群とを比較し、抗浸潤効果についてのメカニズムを調べるために、gene microarray とプロテオミクスを行う。
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