研究課題
近年悪性神経膠腫に対して抗VEGF抗体(bevacizumab) が用いられるようになり、その治療効果が報告されている。しかし、血管新生抑制により治療効果をもたらす一方で、腫瘍細胞の浸潤が誘発されるともいわれる。今回我々は、bevacizumab投与により誘発された脳腫瘍の浸潤性変化に対するintegrin阻害剤 (cilengitide) の併用効果について検討した。ヒトグリオーマ細胞U87ΔEGFR を脳内に移植したヌードラットにcilengitide (Merck KgaA &CTEP, NIH) あるいはbevacizumab (Chugai Pharmaceutical Co) を腹腔内投与し、無治療群、bevacizumab単独治療群及びbevacizumab、cilengitide併用治療群に分けた。移植後18日目に摘出した腫瘍を組織学的に検討した。次に脳腫瘍組織からRNAを抽出し、microarrayを用いてbevacizumab単独治療群とbevacizumab、cilengitide併用治療群の遺伝子変化を比較した。無治療群では腫瘍血管密度が高く境界明瞭な腫瘍を形成するのに対し、bevacizumab治療群では腫瘍血管密度は減少するものの腫瘍境界部では浸潤性変化が観察された。一方、bevacizumab、cilengitide併用治療群ではbevacizumab単独治療群と比較し、腫瘍の浸潤性変化は有意に抑制されていた。Microarrayによるpathway解析ではcilengitide併用治療群にてIntegrin-mediated cell adhesion pathwayの浸潤関連遺伝子が低下していた。Integrin阻害剤の併用治療によりbevacizumab治療後の脳腫瘍浸潤性変化が減少し、浸潤関連因子の発現が抑制された。さらに、最近では、無治療群、bevacizumab単独治療群との比較でbevacizumab単独治療群においてδ-cateninの発現が上昇しているのを突き止めた。さらに統計学的データ解析を行い、学会発表を行った。現在、論文投稿中である。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件) 学会発表 (46件) (うち国際学会 9件)
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