研究課題/領域番号 |
26670653
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
土屋 登嗣 山形大学, 医学部, 講師 (30400576)
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研究分担者 |
高木 理彰 山形大学, 医学部, 教授 (40241707)
菅原 正登 山形大学, 医学部, 助教 (60444030)
高窪 祐弥 山形大学, 医学部, 講師 (80431641)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 骨肉腫 / 変異型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ / 予後予測因子 |
研究実績の概要 |
【目的】イソクエン酸脱水素酵素(isocitrate dehydrogenase: IDH)は,IDH1,IDH2,IDH3の3つのサブタイプがあり,IDH1/2の変異は神経膠腫の予後予測マーカーとして有用とされている.骨肉腫においてIDH2変異の発現が報告されているが,変異型・野生型IDH1/2の発現と生命予後との関連性については解明されていない.免疫染色を用いて,骨肉腫における変異型・野生型IDH1/2の発現と,生存率との関連について調査した. 【対象と方法】対象は,東北骨軟部腫瘍研究会所属7施設において2002年から2012年までに診断された骨肉腫症例98例で,生検あるいは化学療法未施行のパラフィン包埋切片を用いた.複数の変異型IDH1/2を検出できるモノクローナル抗体(MsMab-1),野生型IDH1,IDH2を検出できるモノクローナル抗体(IDH1:RMab-3,IDH2:RMab-22)を用いて免疫染色を行い,その発現と生存率の関連について調査した.免疫染色での発現は,染色される細胞数が全体の0~5%未満で染色性が弱いものをN群,それ以上をP群とした. 【結果】免疫染色の結果,MsMab-1はN群30例,P群68例であった.RMab-3はN群24例,P群74例,RMab-22はN群38例,P群60例であった.全98例の5年生存率は54.0%で,RMab-3染色P群は67.1%,N群は28.2%であり,P群で有意に生存率が高かった(Kaplan-Meier生存曲線,Log rank検定,p=0.03)(Fig. 1). 【考察】骨肉腫症例の標本を用いた研究で,悪性度が高い症例ではIDH1発現が低下していたとの報告や,骨肉腫細胞株でIDH1を高発現させると細胞増殖や転移能が抑制されたとの報告がある.MsMab-1免疫染色によるIDH1/2変異と予後との関連は示されなかったが,RMab-3抗体による免疫染色と生存率との関連性が示され,予後予測因子となる可能性が示唆された.
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