研究課題
水生動物である魚類の造血は腎臓・脾臓で行われ、両生類では脾臓・肝臓・腎臓・骨髄などが造血器官である。そして、陸生動物である爬虫類では脾臓・骨髄が主な造血器官である。哺乳類では、マウスは骨髄以外に脾臓でも造血が営まれているが、ヒトでは通常、造血は骨髄のみで行われている(病的には脾臓、肝臓で髄外造血が起る)。このように、脊椎動物の進化の過程では上陸に伴って骨髄での造血能を獲得し、我々ヒトの造血は骨髄に特化してきたと考えられる。哺乳類の骨髄で造血幹細胞を維持するための造血幹細胞ニッチは、骨表面で骨芽細胞を中心とした骨芽細胞性ニッチと骨髄内の類洞血管の内皮細胞を中心とした血管性ニッチで構成されている。本申請者は、カエルの成体の長管骨の骨髄では造血系細胞が骨表面に限局してるために、骨芽細胞性ニッチは構築されているが、血管性ニッチが構築されていないと考えた。そのため、本研究ではカエル骨髄の造血維持機構を解析することにより、骨芽細胞性ニッチのメカニズムをより詳細に理解することを目指して研究を行い以下の結果を得た。1)アフルカツメガエルのオタマジャクシから成体のカエルの骨髄を組織学的に解析し、すべてのステージの骨髄で、造血系細胞は骨表に局在していた。2)アフルカツメガエル成体の大腿骨の骨再生過程では新生骨の表面に限局して造血系細胞が増加した。3)アフルカツメガエル成体の大腿骨の皮質骨にはハバース管がなく、骨内外の血管の交通は極めて少ない。4)骨髄の造血ニッチに及ぼすPTTの作用を解析するために、ラットにPTHwo投与して骨原生細胞の動態を解析した。5)アフリカツメガエルに5-FU投与後の骨表面の造血系細胞の動態を解析中。
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Bone Reports
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