研究課題
アグリカンを分解する最もメジャーなアグリカナーゼとされるADAMTS5が何故ヒトOAサンプルでは発現量が多くないのか、という疑問に答える一つの仮説として、細胞膜表面に存在するタンパク質を細胞内に取り込むことで除去するエンドサイトーシスが関与している可能性を検証すべく以下の実験を行った。まず、軟骨様細胞であるOUMS-27細胞をサイトカイン刺激したところ、軟骨特異的な細胞外マトリックス成分であるアグリカンの分解促進を認めた。このことから、同細胞はアグリカナーゼ発現制御機構を検証する実験系で妥当であると考え、以下の実験を行った。N-Hydroxysuccinimide (NHS)-SS-biotinでラベルした後に、エンドサイトーシスにて細胞内に取り込まれたビオチンを検出する実験系を構築した。4℃ではエンドサイトーシスは起こらず、37℃においてエンドサイトーシスが起きていることを確認した。OUMS-27においてエンドサイトーシス関連分子であるLRP-1およびRAPの発現に対するサイトカイン刺激の影響を半定量的RT-PCR法にて検討した。IL-1β刺激24時間後に有意なLRP-1の発現増加を認めたが、一方でRAPのmRNA発現量には明らかな変化は認めなかった、ウエスタンブロッティングにてLRP-1タンパクの変化をサイトカイン刺激前後で比較したところ、IL-1β刺激後24時間ではLRP-1タンパク増加に加えて新たな小さなバンドをLRP-1抗体で検出することに成功した。これは一部が切断された短いLRP-1であると考えられた。LRP-1の切断がエンドサイトーシスに影響することが予想され、LRP-1切断によるエンドサイトーシス機能不全がアグリカナーゼ活性を制御している機構の一つである可能性が示唆された。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 5件、 招待講演 3件)
Matrix Biol
巻: S0945-053X(16) ページ: 30031-30032
10.1016/j.matbio.2016.03.007
Cardiovasc Revasc Med.
巻: 17(1) ページ: 54-58
10.1016/j.carrev.2015.11.001.
Acta Med Okayama
巻: 69(3) ページ: 145-153
Mol Med Rep
巻: 12(1) ページ: 595-600
10.3892/mmr.2015.3444