医療の進歩によりインプラントなど人工物・内固定材料を用いた治療は今日不可欠であり,特に整形外科領域では,骨折治療用の内固定材料,関節を置換する人工関節,脊柱体幹を矯正する脊椎固定・後方インストルメンテーションなど発展が著しい.一方で,人工物を挿入後には感染症の発症頻度が増加し,この異物に起因した感染症(implant related infection)は治療に難渋する.このように,異物に起因した難治性感染症治療に,超音波刺激を従来用いられている光触媒効果を付加した内固定材料に応用した技術を導入することを考え本研究の着想に至った. チタン表面を直接酸化することにより作成した,近紫外線による励起能力を持つ光触媒材料を創外固定器を用いた体外からのインプラント刺入に用いた.感染予防効果を従来型の材料と比較,評価し従来のステンレス,チタン製のインプラントより感染症の頻度減少,重症化予防に効果的であったことを確認した. また,陽極,大気酸化を中心に処理,作成し光触媒処置を行った酸化チタンプレートに対して波長・時間を変化させた超音波刺激を加え、酸化チタンプレート表面に散布したメチレンブルーの退色反応で効果を測定し、励起に至適な条件を探索した.超音波による励起がおこることは確認できたが,温度条件に工夫を要すると考えた.また光触媒処理酸化チタンプレートを濃度を変更した菌検体に接触させプレート表面でのバイオフィルム形成の評価を行った。
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